今回は、「なぜか日本人が知らなかった新しい株の本」著者で、長年M&Aコンサルタントとしてご活躍なさった山口揚平さんにインタビューしました。
M&Aコンサルタントを直撃取材!
■山口揚平氏 プロフィールM&Aコンサルタント 山口揚平氏 |
●早稲田大学政治経済学部卒。トーマツコンサルティング、アーサーアンダーセン、デロイト トーマツ コンサルティング、アビームM&Aコンサルティング シニア・ヴァイス・プレジデントを経て現職。
●これまでに多数の大型買収案件に参画するなかで外資系ファンドの投資手法や財務の本質を学ぶ。自ら投資を行い、勝率は95%、現在まで投資資産規模は、約5倍に拡大。
●現在は、財務戦略コンサルタントとして上場企業のコンサルティングを行なう他、集団投資の実施、また、「企業価値を見抜いて投資する会(シェアーズ)」を通して、個人投資家に向けて正しい投資知識と正確な情報を提供する活動に従事。
●夢(予定)は、「小・中学生のための株式投資入門講座」開催
M&Aコンサルタントの考える投資とは?
企業価値を計算してみましょう! |
山口:基本的には、本来「あるべき価格」よりも安く買うことです。あるべき価格とは、すなわち企業価値から負債を引いた「株主価値」に他なりません。
西村:では企業価値とはどのようにお考えですか?
山口:企業の価値は、その企業が稼ぐ「利益」と、過去に稼いで、会社という「蔵」に貯めている「財産」から成り立つと考えています。
西村:具体的な計算方法としてどのように計算するのでしょうか?
山口:まずはその企業の事業価値を計算します。ざっくり平均的な営業利益の10倍をその金額と考えます。 次に財産価値を計算します。財産価値は、
■財産価値=流動資産 ?(流動負債×1.2)+ 固定資産のうちの「投資その他の資産」
と考えます。この事業価値と財産価値を足した企業価値から負債を引くと株主価値です。
■株主価値=事業価値+財産価値?負債
こうして計算したされた株主価値と時価総額を比較して、割安なものに投資します。このざっくり企業価値評価を自動的に行なってくれるサイトも立ち上げました。銘柄名を入れるだけで、割安度を診断してくれます。
西村:では株を売却するのはどのようなときでしょうか?
山口:株を売却するときは主に3つです。
ひとつは、銘柄選択を間違えたときです。価値分析を間違ったり、経営問題が発生して当初のように事業価値が生まれないと判断したときですね。
ふたつめは、現金が必要になったときです。ですが、投資とは基本的に余剰資金で行なうものです。
みっつめは、投資先の割安度が低くなり、かつ他の有望銘柄が見つかったときですね。
価値と価格が完全に一致したときに売却するのではなく、価値と価格のギャップがそこそこ埋まってきたら売却を考えるのもよいと思います。
ですが、本来的には、投資とは、企業の価値創造のために資金を提供することです。したがって価値創造しつづける企業の株を永久に保有しつづけるというスタイルが良いとは思います。
なぜか日本人が知らなかった新しい株の本(山口氏 著) |
山口:株価が「上がるか下がるか」を予測するのではなく、「割安」かどうかに着目しましょう!
西村:ありがとうございました。
あとがき
多くのマネー雑誌で掲載されている山口さん。その優しい語り口とは裏腹に、M&Aコンサルタントという立場から生まれた、企業価値に着目する手法は厳しい選択基準が決められており非常に参考になりました。【参考記事】
【参考リンク】