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リーマンブラザーズ破綻で売られすぎた株(2ページ目)

米リーマンブラザーズ証券の破綻によって金融不安が再燃、とりわけ大きく金融機関の株式が下落しました。今回は過去の金融不安を振り返りながら、現在の状況についても解説していきたいと思います。

西村 剛

執筆者:西村 剛

株式ガイド

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金融機関の破綻による株価下落は過去3回

金融機関の破綻による株価下落は過去3回有りました。95年2月の英ベアリングス証券時、97年11月の山一證券破綻時、03年4月のりそな銀行国有化時です。過去3回の金融機関破綻による株価の下落はどの程度で底を打って、1年後にはどのように推移したかの検証をしてみました。


金融機関破綻時の日経平均
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95年2月の英ベアリングス証券破綻の報道によって日経平均株価は翌日約3.8%下落しました。その後も株式市場は下落し、破たん前から17%下落した126営業日目にようやく底を打つ形となりました。97年11月の山一證券破綻時には、日経平均株価は翌日約5.1%下落し、5営業日目には一旦株価は回復し、破たん前の水準を上回りましたが、その後は下落。破たん前から約23%下落した217営業日目にようやく底を打つ形となっています。03年4月のりそな銀行国有化時には、日経平均株価は翌日約1%下落しましたが、3営業日目に株価は反転し、その後は1年間で35%も上昇しました。
今回のリーマンブラザーズ証券破綻報道を受けて日経平均株価は翌日約5.0%下落し、その3営業日後の18日に日経平均は11489.30円の安値をつけ現在に至っています。

過去3回の金融機関破綻時による株価回復のパターンは大まかに分けて、3ヶ月ほど株価が下落するベアリングス証券型と、1週間前後で短期的な底を打つ山一證券・りそな銀行型のふたつとなっています。今回の下落は、現在のところ3営業日目で一旦底を打っていますので、山一證券・りそな銀行型に近いのではないでしょうか。

山一證券・りそな銀行型の株価下落の特徴

では03年のりそな銀行破綻時から株価が回復した銀行・証券はどのような特徴があったかをひとつの仮説として考えてみました。金融機関が破綻した場合、破綻の連鎖を懸念して次に破綻しそうな金融機関の株価が、翌日他の金融機関よりも下落するのではないかと考え、日経平均株価に採用されている金融機関の株価を対象に検証を行ってみました。


りそな銀行破綻時の金融株
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03年の場合は国有化されたりそな銀行に続いて、みずほフィナンシャルG、住友信託、みずほ信託銀行、三井住友フィナンシャルGの順に株価が下落しました。りそな銀行の破綻によって、株主資本比率の低い、みずほグループ、三井住友グループが次の破綻懸念先として市場は捉えた結果だと思います。一方、健全な財務体質として評価が高かった静岡銀行や三菱UFJフィナンシャルGは、株価の下落が2%未満に留まっています。逆に6ヵ月後の株価を見るとりそな銀行の破綻で「次に破綻するのでは?」と市場で考えられていた金融機関の株価は軒並み大きく上昇する結果となっています。
金融機関の破綻により株価が大幅に下がる局面では次の破綻懸念先として候補に挙がった金融機関の株価が必要以上に下がる傾向があるのではないでしょうか。
次ページではリーマンブラザーズ破綻時の株価下落を検証します。
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