■公定歩合とは
公定歩合とは、金融機関(主に銀行)の求めに応じて日本銀行(以下、日銀)が資金を貸し出す「ロンバート貸出制度」の適用金利です。要するに、日銀が銀行に貸すときの金利です。金利が下がると銀行が安く日銀からお金を借りることができるため、銀行が企業へ貸すときの金利も下がります。
金利が下がると二つの面で株価が上がるといわれています。
一.企業にとっては、資金の調達コストが下がり(お金を安い利子で借りることができる)、利益を上げやすくなります。株価は企業の利益と深く関係していますから、企業が利益を上げやすくなると、その株価は上がります。
二.投資家にとっては、金利の低い預貯金より、リスクがあるがリターンも高い株式や株式投資信託にへ資金をまわすようになるといわれています。資金が集まると(買いたい人が増えると)、需要と供給の関係で、株価は上がります。
おまけ:こうした金融緩和による株価の上昇局面を「金融相場」と呼ぶそうです。金融のとっつきにくい理由のひとつに、「そのコトバが日常生活ではほとんど使われないから」というのがあります。ひとつひとつ覚えていきましょう。そろそろ、用語集をつくらないとまずいですね。しばしお待ちを。
■歴史
1985年のプラザ合意の後、日本経済は円高になり、企業は輸出がむずかしくなり、不況になりました。日銀は金融緩和政策で金利を下げ、株価は上昇しました。
87年のブラック・マンデーに、ニューヨーク株式市場が暴落すると、金融緩和政策が世界中で行われました。日本でも日銀が公定歩合をそれまでの最低水準の2.5%にすえ置きました。その結果、株価は企業の実力を上回る水準に上昇しました。「バブル経済」のはじまりです。
その後、日銀が金融引締めに転じると、株価も急落し、バブル経済が崩壊しました。つまり、バブル経済の生成から崩壊まで、株価は公定歩合の動きに敏感に反応していたのです。 「金利が下がると、株価が上がる。金利が上がると株価は下がる」という関係、理解できましたか?