◆神宮球場株主優待券が欲しい!
夫は小さい頃からヤクルトファン。1年に数回神宮球場に足を運びます。夫婦二人のチケット代は結構家計に響くお値段ですが、ささやかな楽しみ、ストレス発散と思い、妻はやりくりして奮発していました。
そんなある日、知人が「これいらないからあげる。確かヤクルトファンだったよね。よかったら使って」と、1枚のカードを差し出しました。それがヤクルト本社発行の「神宮球場株主優待券」、株購入に至るきっかけでした。
「これどうしたの?」と尋ねると「ヤクルトの株買ったら送ってきたの。株を持っている間はあげるから」。
知人の恩恵にあずかり、「行きたい時に行く」という至福の数年間が終わったとき、妻は「夫の誕生日のプレゼントにこの優待券を贈ろう。そのためにヤクルト株を買う」と決心しました。
◆ついにヤクルト株をゲット!
ヤクルトは当時1株1500円位だったとか。150万円のお金を株につぎ込むほどの余裕はありません。しばらくして、ヤクルトの資産運用担当だった当時の副社長が「プリンストン債」で多大な損失を作リ、その影響でヤクルト株が700円を割るという、妻にとっては思ってもみない買いのチャンスが訪れました。1999年2月のことです。すぐに680円で1000株購入。
株を買うのは初めてという40代主婦のすばやい行動と決断には、執念すら感じます。
1999年12月28日プリンストン債をめぐる事件で、上場廃止の検討がなされた時、さすがに不安になった妻はヤクルトに問い合せました。「上場廃止になるということは、市場での売買ができなくなるということです。配当その他は今のところ変わりませんが・・・。たとえ上場廃止になっても数年後再び上場ということもありますので」。少し不安だけれど、財務体質はいい会社だし「優待券」が発行されるのなら上場廃止になってもいいか、となんともお気楽な主婦です。
◆夢のような収支決算
2001年4月転勤で東京を離れることになった夫婦には、もはや「優待券」は必要ではありません。そこで株を売却することに。売却価格=1240円、売却益は56万円近くにもなりました。
彼女いわく「配当、優待券、年末の化粧品のプレゼントなどがあって、株主っていいなと思ったわ。またいつかこれぞと思う会社を見つけて買うつもり。でもこんなにうまくはいかないでしょうね」。