リーマン破たんは序章に過ぎなかった?
今年を振り返るうえで、ここ数か月の株価の下落、そして世界経済への不安感を抜きにすることはできません。9月15日にリーマンブラザースが破たんして、それによってアメリカの金融市場の仕組みが音を立てて崩れました。ただ、この時点では、びっくりするくらいの大きな下落はなかったのです。
ここ約3ヶ月の日経平均の動き。出所:マネックス証券ホームページ |
日経平均で見ると、リーマンが破たんした直後の営業日には大きく値を下げました。2日後にさらにもう一段下げていますが、その後は一時的に回復しているのです。
ただ問題は、リーマンが破たんしたことによる一時的なショックのあとに来た、世界経済に対する危機、そしてアメリカという金融市場への不安をともなった大きな下落です。
10月に入ってからは、非常に厳しい相場となりました。日経平均も一時は1000円を超える下落を記録したこともあります。この時期のボラティリティは、通常のものと比べるとかなり大きな幅です。
私個人としては、ここまで大きな幅で動き続ける相場を経験したことがなかったので、動くときはこれほどまでに劇的なのかと思ったものです。
ここで思ったのは、人間は慣れるということでした。1日に日経平均が400円、500円動いてもだんだん普通になってくるのです。
人には「慣れる」という特性がある
それまでの通常相場であれば、400円下がった、500円上がったというと、かなり話題性を持ちます。何かすごく大きなニュースが出たのではないかと、材料を探しだすのですが、今回の場合はちょっと違う感じがしました。ようは、400円、500円という幅が当たり前になっているのです。だから、150円上がったくらいでは、特に喜びもなくなってしまっている。
相場に感情を持ち込まないという意味ではいいのかもしれませんが、あまりにも冷静すぎるのかもしれません。これが逆に相場観を狂わすこともあるようです。普段であれば、ロスカットをしているタイミングなのにできないということも。相場がどんな状態になろうが、自分の決めたルールは守らなければならないのです。
損失が大きくなればなるほど、焦りも出てきます。基本的に、もうだめだと思った時には本当にダメになっていることが多いので、「ん?ヤバいかな」と少しでも思ったら、さっさと退散すべきなのかもしれません。
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