銀行や証券会社の破たんはゼロではない

万が一の場合のためにチェックしておこう

万が一の場合のためにチェックしておこう

金融機関というお金のプロが、まさか倒産することはないだろうと思っている人もいるかもしれません。しかし、最近では2008年9月に米国のリーマンブラザーズ証券が破たんし、世界的な株安となりました。

また、ある年齢以上の人であれば、記憶に新しいと思いますが、近年、日本でも銀行や証券会社の破たんが相次ぎました。

いわゆるバブル経済の崩壊で1997年に北海道拓殖銀行が破たんしたのを皮切りに、1998年には日本長期信用銀行、日本債券信用銀行といった政府系の金融機関が一時国有化(現在は、新生銀行、あおぞら銀行として再生)する事態にまで発展。

証券会社では、1996年に、野村証券、大和証券、日興証券と並んで、日本の四大証券会社の一つと言われていた山一証券が自主廃業しました。

これ以降、銀行の再編が進み、証券会社も統廃合やネット取引によるコストダウンが図られるようになりました。時流の変化によってネット証券が台頭したのも、2000年前後のことです。たった10数年の間に、金融機関の状況は様変わりしているのです。財務体質強化も進んでいます。

しかし、金融機関の破たんは、今後も可能性はゼロとは言い切れません。では、万一、金融機関が破たんしたときに、自分の預貯金、投資資金、株や投資信託はどうなるのでしょう? あらためて確認しておきましょう。

株も投資信託も証券会社の財産とは別に管理されている

まず銀行が破たんした場合はどうなるのでしょうか。 預金者の保護などを目的に作られた預金保険制度により、当座預金や利息の付かない普通預金(決済用預金)は全額保護され、普通預金や定期預金などの一般の預金については、1金融機関、ひとり1000万円までの元本とその利息までは保護される仕組みになっているので、特段の心配は必要ないでしょう。

ただし外貨預金は保険の対象外であり、さらに保険制度に加入していない外国銀行の預金も対象外なので、その点のみ注意が必要です。

万一、保険の対象額以上の預金がある場合は、破たんした銀行の余剰財産次第になり、全額戻ってこない可能性がありますので、あらかじめ複数の金融機関に分散しておくなどの対策を講じておくことが大切です。

では、証券会社の場合はどうでしょう。 そもそも、証券会社の財産管理の仕組みは銀行とは異なります。投資家は証券会社に口座を開設し、株や投資信託を売買します。実は、その投資家の資金は、証券会社自体の財産とは分けて、分別保管することになっています。つまり、証券会社の財産と投資家の財産はきっちりと分けて管理されているので、万一証券会社が破たんしても、投資家の財産は投資家に返還されるわけです。

どのように分別保管されているかといえば、投資商品によって異なります。 国内株式については、証券保管振替機構(通称:ほふり)によって、株券の保管や株主名簿の管理などの一切が行われているため、たとえ証券会社が破たんしたとしても、株券の移管手続きをするだけでいいのです。

破たんではなく、証券会社を変更するために、投資している株式を移したいときも、証券会社に届けをすれば、ほふりの情報も更新されるので、投資家にとってはとても便利な制度です。証券会社に口座を開設すれば、ほふりを利用する仕組みになっているので、特別な手続きは必要ありません。

MRFや投資信託は、その商品性から、もともと投資資金は「信託銀行」が管理することになっています。 投資信託(MRFも含む)は、証券会社や銀行などの販売会社を通して購入し、その運用は運用会社が行います。しかし、運用の資金については、信託銀行が管理を行っています。よく運用会社のファンドマネジャーが多額の資金を動かしているように思われていますが、実際は、ファンドマネジャーは運用の「指図」をし、それにしたがって信託銀行が株や債券の売買を行っているのです。そのためのコストは投資信託を保有している間、信託報酬として投資家は支払っているわけです。

つまり、万一、証券会社が破たんしても、投資信託自体は、別管理で運用されているため、株式同様、証券会社の口座を移管すればいいだけのことです。ただ、影響があるとしたら、株式や投資信託の移管手続きには多少の時間がかかるので、売買の制限を受けることが考えられます。

最後のとりで、「投資者保護基金」って何?

よく証券会社が破たんしても「投資者保護基金」があるから大丈夫、と目にしますが、前述したように、本来は投資家の資金は分別管理されているので、破たんしてすぐに「投資者保護基金」が介在してくるわけではありません。

しかし、分別管理されているといっても、破たん時には何が起きるかわかりません。証券会社が口座移管の手続きをスムーズに行えないことも考えられます。

そうした場合に備えて、投資者保護のために設立されたのが「投資者保護基金」なのです。ただ、その場合の補償額は一人につき1000万円までとなっており、それを超えた金額については、破たんした証券会社の財産状況によるので、一部カットされる可能性もあります。

一般的な投資であれば、証券会社が万一破たんしても、投資家の資金は保護される仕組みになっているのは、わかっていただけたでしょうか。 最後に注意すべき点について触れておきましょう。

投資の待機資金として利用されるMRFも投資信託の一種なので、前述したとおり、分別管理されていますが、信用取引や商品先物、くりっく株365といった取引をしている場合、MRFではなく「預かり金」として証券会社が文字通り預かっている状態になるケースがあります(証券会社によって異なる)。

取引先の証券会社では、どうなっているのか、再度確認しておきましょう。 また、最近では、SBI証券や楽天証券などでは、自社グループの銀行預金口座と連動して、投資資金の預かりをMRFではなく銀行口座に移し、即時決済などのサービスに振り替えているところも増えてきています。
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