年金/公的年金制度の仕組み

日本に住む外国人の年金はどうなる?(2ページ目)

外国人であっても、日本で住んでいれば日本の年金制度に加入する義務があります。要件を満たせば年金を受け取れますが、場合によっては「掛け捨て」になることも。そんなケースのために「脱退一時金」という制度があります。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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掛け捨て防止のための「脱退一時金制度」がある

国は、掛け捨て防止のために「脱退一時金制度」という一時金の給付制度を設けています。国民年金や厚生年金の加入期間が6カ月以上あり、老齢年金や障害年金を受け取ることなく帰国した外国人が対象です。

受け取れる金額ですが、例えば国民年金の場合、年金加入期間が6カ月以上12カ月未満で、4万6770円です(平成27年度の保険料を収めた場合)。この4万6770円とは、平成27年度の国民年金保険料の3カ月分相当。要は、「6カ月加入で3カ月分を返す」という、一種の「保険料払い戻し制度」と考えてもよいでしょう。

なお、国民年金保険料は毎年変わります。収めた年度の保険料によって「払い戻し」される脱退一時金の額も変わることになります。

この脱退一時金を受け取った場合、その該当する期間は年金の加入期間でなかったことになります。また、日本と社会保障協定を締結している場合、脱退一時金を受けるとこの期間部分は通算できなくなります。

他国との社会保障協定は海外在住の日本人にも影響

国は、今後も各国と協定の締結を進めており、現在スウェーデン、中国、フィリピン、トルコ等とも交渉中のようです。

更に、スロバキア、オーストリア、フィンランドとも予備協議中ということで、「掛捨て」、「二重負担」という問題をクリアすべく、今後も未締結国と交渉していくものと思われます。

この社会保障協定の締結は、日本に住む外国人はもちろん、日本から外国に赴任する日本人にとっても必要なことです。なぜなら、保険料の二重負担や保険料の掛け捨ての問題、加入期間が通算されないことで無年金もしくは低額な年金しか受け取れない可能性がある、という事実はどちらにもあり得ることだからです。

今後。国際交流がますます増えることは間違いないありません。日本政府はより多くの国と協定を結ぶ努力をする必要があると同時に、協定が未締結である国が母国である外国人の年金加入について、より柔軟な対応が求められると言えます。

【関連リンク】
脱退一時金(日本年金機構) 

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