文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
5年に1度、年金の財政再計算が行われます。前回は平成11年(法案が可決されたのが3月28日のことでしたので、12年改正と呼ばれることもあります)でした。
制度発足時から検討事項の一つにされながら毎回積み残しにされてきた国民年金の第3号被保険者の問題をはじめ、多様化する女性の生き方に即した年金制度のあり方を討議する場として、「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」(以後、「女性と年金検討会」と表現します)が開催されてきました。今回は、平成13年12月にまとめられた報告書の内容をみてみることにしましょう。
<現在存在している問題について>
★女性のライフスタイルの多様化と標準的な年金(モデル年金)の考え方が乖離していること。→就業経験のない女性よりも就業した経験のある女性の方が多い
★女性の場合、厚生年金や共済年金などの被用者年金への加入期間が短く、賃金も低いために、相対的に低い水準にとどまっていること。
★さまざまなライフスタイルを選択する女性の間での不公平感がある。
★女性の長い老後期間に対する保障→高齢離婚などにより、わずかな老齢基礎年金だけでは生活に支障をきたす。長年連れ添っても、離婚してしまえば、遺族年金を受けることはできない。
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【女性自身の貢献がみのる年金制度】
男女が家族的責任を果たしつつ、様々な形で就労したことができるだけ年金制度上評価され、それに応じて老後の自立生活を支える年金が充実していく方向を展望
存在する問題をうけ、目指すべき方向と基本的な3つの視点が示されています。
<基本的な3つの視点>
1)個人の多様な選択に中立的な制度の構築
2)年金の支えてを増やしていく方向
3)女性に対する年金保障の充実
憲法第25条(生存権)の理念を具現化する社会保障制度の一つである年金制度について、次の3つの論点が示されています。
1)個人単位と世帯単位
2)応能負担と応益負担
3)「公平性」の確保