物価スライド制が公的年金制度に導入されたのは、昭和48年の制度改正時です。
当時は、第1次石油ショックなどの影響で戦後初のマイナス成長を記録しており、物価は、2ケタで高騰を続けていました。
消費者物価対前年上昇率 スライド率
【昭和47年度→48年度…16.1% 昭和49年度に16.1%】
【昭和48年度→49年度…21.8% 昭和50年度に21.8%】
【昭和49年度→50年度…10.4% 昭和51年度は財政再計算】
【昭和50年度→51年度…9.4% 昭和52年度に9.4% 】
なお、昭和60年改正により、年度方式から歴年方式に変更
どのぐらい貨幣価値にブレが出来たのでしょうか
例:今から30年前の昭和47年の5万円は、現在貨幣価値に換算するとどのぐらいの価値があると思いますか?
昭和47年の5万円は、平均初任給(4万9900円)ぐらいの価値があったと考えられます。つまり、現在に置き換えると19万円~20万円ぐらいの貨幣価値があったわけです。
もし当時、30年先毎月5万円(現在価値にすると毎月20万円)の年金を準備するために運用を始めたとしたら、今では毎月20万円程度の年金を用意していなければ年金の実質的価値が保たれたことにはなりませんね。
当時のままの5万円では、貨幣価値としては4分の1しか用意できなかったことになります。
こういった物価変動による貨幣価値の変動を取り除くためのしくみが、物価スライド制なのです。
なお、平成元年からは、全国消費者物価指数が前年と比べて変動した場合は、その年の翌年4月分より年金額も物価変動と同率分だけ変動させて、年金の実質価値を守る「完全物価スライド制」が導入されています。