当たり前の話ですが、雇用体系や法体系あるいは国民性や文化などの背景が異なりますから、同じ土俵にあげて諸外国の年金制度とわが国の制度を簡単に比較することはできませんよね。
でも、将来に重くのしかかる「少子高齢化」に対応する年金制度作りが急務であることに共通点はあります。
だからこそ、この次は日本にも導入されるかもしれない…という意味で、同じ悩みを持つ諸外国で断行される年金制度改革の内容について無関心ではいられないわけなのです。
誤解しないで下さいね。脅かしているわけでもなんでもないのです。同じ課題を抱えている年金制度ですから、各国とも他の国の年金制度改革に無関心なはずは無いということなのですから。
ところで、今回ドイツで閣議決定された年金制度改革案には、日本とタイムラグなしで同時期に着手されようとしているものもありますので、それをご紹介しておきましょう。
「年金の実質的貨幣価値を守るために、賃金や物価水準の上昇に応じて毎年の年金額を見直す物価スライドがあるが、今後は給付額調整の際に年金受給者と保険料を払う世代の人口構成を反映させるものに変更する」
もし改革案どおり可決されてこれが実施されますと、ドイツでは現役世代が減る傾向にあるために、年金額は現在のように上がらなくなる見通しなのだそうです。
どうでしょうか、日本にもドイツとよく似た制度がありましたよね。「物価スライド制」です。これは昭和48年に導入された制度で、5年に一度の財政再計算と並んで、賃金や物価の上昇に応じて年金額を改定して給付額を見直し年金額の実質的貨幣価値を保つために実施されてきた制度です。
しかし少子高齢化の進行する国の公的年金制度では、もはやその時の賃金や物価の変動だけを給付額に反映させ目先の年金額を改定する手法では、中長期的な年金財政の安定という視点において非常にリスクの高いものになりますから、制度を見直して、保険料を払う世代と年金を受給する世代の人口構成を反映させようというのが、今回のドイツが導入しようとしている制度であり、日本が検討する「マクロ経済スライド」なのです。
いずれにせよ、2004年はドイツ・日本ともに、21世紀の年金制度の青写真を国民に示すべく大切な年となることは間違いありません。
◆関連リンク
あなたの年金額をシミュレーション
あなたのギモンに回答!「国民年金基金」をもっと詳しく
世代別の人気年金プランはコチラ