文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
「20歳以上の学生が障害を負った場合、20歳未満と同様に年金を支給するのが国民年金法の立法趣旨だった」という東京地裁の判決がありました。
アメリカンフットボールで活躍していた同い年のスーパーヒーローが、試合中の転倒が原因で障害者になってしまったシーンが脳裏に焼き付いて離れない私にとっても、この判決は学生時代を思い出させる本当に意味深いものでした。
あなたは、学生時代の病気やケガがもとで障害者になっても、障害基礎年金がもらえない場合があるのをご存知でしたか?
初診日が20歳未満にあるか、20歳以降かで明暗を分けているからです。
平成3年(1991年)3月までは、20歳以上の学生は、国民年金への加入は任意でした。
当時任意加入して国民年金の保険料を払っていた学生は、学生全体の2%にも満たなかったぐらいでした。
実際、20歳になって国民年金の手続きに行ったのに「就職してから年金に加入すればいい」と窓口で指導を受けて何もせずに帰ってきた友人がいたくらいです。
しかし、20歳以上の学生時代に初診日のある病気やケガで障害者になった場合には「任意加入していない」と大きなペナルティーが待っていた!
大きなペナルティー…障害を負った上に、国民年金に任意加入していなかったことが理由で、生活に必要な所得保障として支給される障害年金が受給できない無年金障害者になってしまったのです。
「国民年金の未加入者には、年金は支給できない」というのが理由です。
でも、当時学生だった私自身、学生が国民年金に任意加入しなければこんなに大きなリスクを負うことを見聞きした記憶が全くないし、任意加入していた学生は2%足らずだったという事実からも、国が任意加入しない場合のデメリットを周知徹底させていたとはいえないと思うのです。