ここで忘れてはいけないのが、社会的扶養
年金相談の現場では、以前に比べて離婚に関するものが多くなりました。
もちろん当事者からのご相談が多いのはいうまでもありませんが、その中には「両親の離婚には反対しないけれど、本当に離婚すれば母の年金が少額になるのでは?子が親を扶養していかなければならないのだろうか」という両親の離婚を前にして悩む子世代からの相談まで含まれています。この若者のことばには、「親の経済的自立がなければ、自分の今後も生活も成り立たない」という悲痛さがこめられているのがわかります。それは、離婚すれば、母親の少額の年金だけでは経済的自立が不可能であることを子が知っているからなのです。
実は、年金の社会的扶養の側面がここにあるのです。
年金制度が存在しているからこそ、親世代は生きている限り年金を受給する事ができます。これが生活の基盤をしっかり支えることにより、親が自助努力して準備した預貯金などの金融商品や不動産などの資産を加え、親世代の経済的自立が可能になっているということなのです。
親が経済的に自立できることは、子世代にとってハッピーなこと
親が経済的に自立するということは、子世代にとってもハッピーなこと。
親への毎月の仕送りなしに、自分たちの生活だけを考えていけるのですから、年金による恩恵を十分に受けていると考えることができますね。
生きている限り支給される終身年金であり、貨幣価値をある程度損なわないで維持できること、そして国が存続する限りゼロになる不安がない(生存権…憲法第25条)公的年金が存在しているからこそ、親を扶養しなければならない状況から解放されるのです。
自分を中心に考えれば、払った保険料の何倍が給付として戻ってくるという受取倍率が基準になるかもしれません。しかし、上下世代とのかかわりの中で年金制度を考えてみると、年金制度の存在する意義を再確認する事ができるのです。
一時的な損得論に流されて公的年金の受給資格を得ることができない親でも、自助努力のみで自己完結できれば問題ありません。しかし、それができなければ、生涯子ども世代の重荷となってしまうでしょう。
わが子には、自分の人生の選択を自由にして欲しいと願うのが親。
経済的に最もきつい時を迎えている30代後半から40代は、すでに成人した子に対して今後してやれることはあまりないかもしれませんが、せめて、子に経済的に迷惑をかけて重荷になることだけは避けたいと考えている人は少なくありません。
そのためには、現役で収入がある間にきちんと年金制度の保険料を負担して年金の受給資格とその内容を充実させておくのです。そして、今できることから自助努力も始める…。年金を基礎とした経済的自立が可能になれば、自由に豊かに時間を過ごせるハッピーリタイアメント。自分たち世代で自己完結するためには、社会的扶養の大役を担っている年金制度が必要だということを再確認していただければ幸いです。
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