文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
世代間格差の損得に終始した年金制度改正
年金に関する世代間の損得論が繰り広げられたのが、今回の年金制度改正でした。
でも冷静に考えれば、年金制度を知り尽くした有識者や数理計算のプロたちが長年話し合って「年金丸のカジ取り」をしてきたはずなのですから、今のような年金財政になることを20年前でも察知できていたはずだし、5年に一度行われてきた制度改正で、今のような状態を回避できる策を講じることもできたはずなのです。
今さら「~していたら…」のような話をする気はありませんが、せめて今年の通常国会で、首相自らが真摯な態度で年金制度の青写真を示してくれていたら、国民に将来の年金制度について熱く語っていたならば、今のような年金(政治)不信はおこならなかったでしょう。
そして、私たち国民は国や首相を信頼し、国民所得をいつの時代にも現役世代、高齢世代、次世代を担う世代に公平に配分してくれるはずだという確信をもち、これから全世代で分かち合う痛みも明るい将来を展望して黙って耐えていくことが出来たのではないでしょうか。
しかし、あいかわらず年金が政争の道具に使われている状況を目の当たりにし、国民と国会の距離が大きくなることに胸を痛める昨今なのです。
もし年金がなければ、今の生活が維持できますか?
さて、ここで気を取り直して皆さんと一緒に考えてみたいテーマがあります。
もし年金がなければ、今の生活が維持できるかどうかです。
このサイトで2004年6月から7月に行った「公的年金がなくても、老後資金を準備できますか?」のアンケート結果をみると、約6割の人が「自信なし」と答えていました。
「公的年金は現役に不利だというので保険料を払うのは嫌だ!」と言うけれど、代替策を講じて自己防衛出来る人は多くないということです。
でも本当に現役世代は、年金受給世代に比べて損な世代なのでしょうか?