それは全期前納したという事例だった!
事例というのは、「23歳のときに60歳になるまでの全期間の国民年金の保険料を前納したはずなのに、空白期間ができてしまって満額の年金がもらえなくなった…」というものだったのです!
民間の保険なら、全期前納した養老保険があったり、個人年金があっても不思議ではありません。それは、予定利率が契約時に確定し、保険金や年金額も固定されるからです。
しかし、現在の年金制度ではあり得ない話なのですが、国民年金が誕生した当時なら可能だったのです!
なぜって? 、
昭和36年4月当時は、国民年金の保険料や年金額を将来的に引き上げる前提がなかったからです。
保険料を納付する手間が省けるし、徴収する側もコストを抑える効果があるということで、将来の一定期間について保険料が前納できる制度があったのです。嫁入り道具の一つとして、保険料を全期前納して国民年金の受給資格を持たせることもあったそうです。
その後、昭和42年1月から保険料が引き上げられることになったので、全期前納制度は廃止になり、すでに前納した人には、新しい保険料との差額を追納するようにという通知が出されたそうです。(保険料の変遷についてはこちら>>)
さらに昭和49年には国民年金法施行令に前納保険料の充当の規定が設けられ、前納した保険料を順次取り崩し、自動的に差額に充当する事ができるようになりましたので、この相談者が全期前納したという2万4000円足らずの保険料は、その後あっという間に底をついたことが容易に想像できたのです。
ただし、底をついてしまった後の期間については保険料を払わなくても「未納」期間とはせず、保険料の免除期間とみなす措置がとられました。だから、相談者も老齢基礎年金を受給するための受給資格が得られないという事態にはなりませんでした。
いかがでしたか?
へえ~!そうなんだ!という事例だったでしょ!?
今回のケースは受け取り倍率で計算するとお得だったのかもしれませんが、老後の生活保障である年金を生涯手に入れられたかどうか…という視点で考えてみると不十分だったという結論になるでしょう。
このように制度改正が今後もあるだろうという前提に立てば、今◎のしくみでも将来的にも◎であり続ける保証はありません。損得で動いたために「しまった!」ということもあるでしょう、後悔しないように年金とつきあっていきたいものですね!
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