文章:石津 史子(All About「年金」旧ガイド)
どんどん増える海外長期滞在者
外務省の平成15年の海外在留邦人数調査統計によると、平成15年10月1日現在、全世界に在留する日本人の数は過去最高の91万1062人(対前年比4.5%増)に達したそうです。平成元年が58万6972人だったのと比べると1.5倍を超える増加です。また3ヶ月以上の滞在者で永住者(当該在留国より永住権を認められている者)でない長期滞在者は、全在留邦人数の68%で前年に対して5.5%増加しました。
このように、海外で長期間にわたり仕事をしたり生活をする人が増えているといえるのです。
社会保障協定を結ぶのはなぜ?
先進国では、現役時代を終えた後に生活のよりどころとなる老齢年金の制度があります。そして、社会保険方式を採用している国では、一定期間(例えば日本は25年、アメリカ10年、ドイツ5年)の制度への加入をもって老齢年金の受給資格としているのが普通です。このために、短期間外国の公的年金制度に加入しても、その国の老齢年金の受給資格期間を満たすことができないケースがでてきます。また国によっては、受給資格期間を満たしても、外国人の年金の支払については、その国に居住している場合のみに制限している場合もありますので、このようなケースでは実質的に保険料が掛け捨てになっているのです。
そこでこのような不都合を改善するために、二国間の交渉により社会保障協定を結ぶ動きが活発化してきたのです。
社会保障協定の内容は、それぞれの相手国の社会保障の実態によっても各々異なりますが、主な目的は二重加入の問題を解決することと、それぞれの国における年金受給権を確立することです。
さて、社会保障協定締結に向けて続々と話し合いの場につく国が増えていますが>>これらについては次のページで。