国の年金制度以外の年金は?
日本には、その他にも年金制度はあります。国民年金・厚生年金・共済年金といった国の年金制度は、加入が義務付けられている強制的な年金制度ですが、その他にも、個人で任意に加入する個人年金や、企業が必要に応じて加入する企業年金などの年金制度がいくつかあります。これらの「その他の年金」について、税制措置を比較してみましょう。
その他の年金の保険料を払うとき、税金はどうなるの?
その他の年金の中にも、公的な年金制度があります。国民年金の保険料を納めている人が、個人で任意に加入できる国民年金基金と、企業ごとに加入し、厚生年金保険の被保険者である従業員が加入員となる厚生年金基金です。この2つの年金制度については、国の年金制度と同様、税制上有利な措置がとられており、払った保険料(掛金)については、全額を所得控除できる「社会保険料控除」が適用されます。
【国民年金基金の例】
課税所得金額350万円のフリーランスの人で、国民年金基金の掛金が月2万円(年間24万円)の場合、1年間でどれくらいの所得税額の軽減になるか、税率を20%として計算してみると
20,000円×12ヶ月=240,000円 | |
240,000円×20%=48,000円 |
となり、1年で約4.8万円、税額が軽減されることになります(定率減税は考慮しておりません)。したがって、国民年金基金の年間の掛金は、実質約19.2万円となります。
一方、一般の生命保険会社などの個人年金保険やその他の企業年金である確定給付企業年金については、支払った保険料は「生命保険料控除(一定要件あれば個人年金保険料控除)」の対象となり、総所得から控除できる額は、最大で5万円(合計最大10万円)までになります。
その他の年金を受けるとき、税金はどうなるの?
国からの年金制度以外のその他の年金を受ける場合の税金の扱いも、その種類によって違いがあります。
老齢に対する年金については、全て雑所得として課税されることになりますが、雑所得を計算する際に、国の年金制度と同様に、優遇措置である「公的年金等控除」が適用されるものがあります。それは、国民年金基金と、厚生年金基金や確定給付企業年金などの企業年金です。これらは、国からの年金を含めて全て「公的年金等」という雑所得となり、雑所得を計算する際にも、合計して計算することになります。
一方、一般の生命保険会社や郵便局などの個人年金保険の場合も、雑所得として課税の対象になりますが、その雑所得を算出する際には、前述のとおり、公的年金等控除は適用されず、年金収入から必要経費等を差し引いて計算します。
なお、遺族給付(一時金含む)については、やはり公的な制度である国民年金基金と厚生年金基金は非課税扱いですが、その他の年金は、相続税の対象となります。また、障害給付がある場合は、全て非課税扱いとなっています。
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国の 年金制度 |
その他の年金 | ||||
個人年金 | 企業年金 | |||||
国民年金 厚生年金 共済年金 |
国民年金基金 | 個人年金保険 | 厚生年金基金 | 確定給付 企業年金 |
||
保険料を 払うとき |
社会保険料 控除 |
社会保険料 控除 |
生命保険料 控除 |
社会保険料 控除 |
生命保険料 控除 |
|
給 付 を 受けるとき (年金・一時金) |
老齢 | 雑所得 (公的年金等 控除) |
雑所得 (公的年金等 控除) |
雑所得 | 雑所得 (公的年金等 控除) |
雑所得 (公的年金等 控除) |
障害 | 非課税 | ? | ? | 非課税 | 非課税 | |
遺族 | 非課税 | 非課税 | 相続税の対象 | 非課税 | 相続税の対象 |
このように日本の年金制度の税金の計算方法は、その種類によって異なっています。国民年金や厚生年金といった国の年金制度は強制加入の制度なので、税制上最も有利な扱いとなっていますが、その他の年金の中にも、国の年金制度と同等の税制優遇措置を備えているものもあります。プラスアルファの年金作りを考える際には、税制面も含めて検討するとよいでしょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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