遺族年金はどの位?~事例で検証
それでは、第1号被保険者であるフリーランスや自営業者の遺族年金がどのくらいの金額となるのか、事例を使って検証してみましょう。
夫婦でフラワーショップを経営するスズキさん夫妻。結婚17年目で、夫のダイスケさん(45歳)が亡くなりました。残された遺族は妻トモヨさん(42歳)と長男(15歳)と次男(10歳)の3人です。ダイスケさんもトモヨさんも会社勤めの経験はなく20歳から国民年金に加入し、これまで、保険料の滞納はありません。ダイスケさんのの死亡後、トモヨさんは国民年金の保険料を60歳まで全額納めるものとします。また、スズキさん一家に障害者はいません。
ダイスケさんの死亡の当時、第1号被保険者としての25年の受給資格期間を満たしています。また、妻のトモヨさんには遺族基礎年金の支給要件を満たす子どもが2人います。長男が高校を卒業するまで支給される遺族基礎年金は、
となります。長男が高校を卒業し、次男が高校を卒業するまでの遺族基礎年金は、1,020,000円です。次男が高校を卒業した時点で、トモヨさんは遺族基礎年金がもらえなくなります。
また、ダイスケさんは死亡時に老齢基礎年金の受給資格を満たしていて(国民年金の保険料納付済期間が25年)、トモヨさんとの婚姻期間も10年を超えているので、トモヨさんには60歳から65歳まで寡婦年金が支給されます。トモヨさんの寡婦年金の金額は
×3/4=371,300円(100円未満四捨五入)
になります。ダイスケさんの死亡後、トモヨさんの受け取る年金は以下のようになります。
夫婦ともにフリーのグラフィックデザイナーとして働くサイトウさん夫妻。夫のマコトさん、妻のアイさんは同じ年齢で、30歳のときに結婚、2人の間に子どもはいません。夫のマコトさんが45歳で死亡し、妻のアイさんが遺族として残されました。マコトさんもアイさんも会社勤めの経験はなく20歳から国民年金に加入し、これまで、保険料の滞納はありません。マコトさんの死亡後、アイさんは国民年金の保険料を60歳まで全額納めるものとします。また、マコトさん、アイさんとも、障害者ではありません。
アイさんは子どもがいないため、遺族基礎年金をもらうことができません。ただし、マコトさんの死亡時、夫婦ともに寡婦年金の支給要件を満たしているので、アイさんは60歳から65歳まで寡婦年金をもらうことができます。アイさんの寡婦年金の金額は
×3/4=371,300円(100円未満四捨五入)
になります。マコトさんの死亡後、アイさんの受け取る年金は以下のようになります。
備えが肝心!第1号被保険者の遺族保障
上記の2つの事例は、死亡時の年齢、第1号被保険者としての加入歴、年齢がどれも同じ第1号被保険者が死亡した場合の遺族年金を比較しています。事例の通り、第1号被保険者であるフリーランスや自営業者の遺族年金は、子どものいる夫婦と子どものいない夫婦では支給される年金額に差があります。遺族基礎年金がもらえる場合でも、子どもが高校を卒業する時点(18歳到達年度末)までです。子どもが大学に進学し、引き続き扶養しなければならない場合でも遺族基礎年金は支給されません。
また、子どもがいない夫婦の場合で、夫の死亡時に第1号被保険者として25年の受給資格期間を満たしていないときは、妻には寡婦年金は支給されず、支給されるのは死亡一時金だけになります。
さらに、妻の死亡により夫に支給される遺族年金は第1号被保険者にはありません。子どもがいる場合でも、残された夫によって扶養されるのであれば支給されるのはやはり死亡一時金だけになります。
厚生年金に加入する会社員に比べて、フリーランスや自営業者への公的な遺族年金は支給される遺族の範囲が限定されるうえ、支給期間や支給額も限られた年金になります。「もしも…」の場合への備えは、早めに心がけておいた方がいいでしょう。自分のライフプランに必要な生活費を考えて、生命保険や個人年金保険の加入を検討するなど、自分にあった方法で遺族保障を検討してみましょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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