家族にもしものことがあれば、悲しい気持ちはみな同じ… |
一時金の遺族保障~死亡一時金
もう1つの独自給付は、「死亡一時金」です。この給付は、年金ではなく一時金が支給されます。支給対象となる遺族は、死亡した人の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、死亡した人と生計を同じにしていたことが要件となります。遺族基礎年金に比べると、支給対象となる遺族の範囲が広くなります。ただし、死亡一時金が支給されるのは、上記の遺族のうち最優先順位の遺族だけで、上述の順位が優先順位を表します。
死亡一時金の支給額は、死亡した人が納付した保険料によって決まっています。保険料を全額納付した月を1ヵ月、免除を受けた月数は以下の表の月数分を合計し、36月以上あれば月数によって死亡一時金の支給額が決まります(下表参照)。
保険料の納付状況 | 合算する月数 |
保険料4分の1免除期間 | 免除期間の4分の3に相当する月数 |
保険料2分の1免除期間 | 免除期間の2分の1に相当する月数 |
保険料4分の3免除期間 | 免除期間の4分の1に相当する月数 |
保険料全額免除期間 | 合算できない |
合算した月数 | 支給額 |
36月以上180月未満 | 120,000円 |
180月以上240月未満 | 145,000円 |
240月以上300月未満 | 170,000円 |
300月以上360月未満 | 220,000円 |
360月以上420月未満 | 270,000円 |
420月以上 | 320,000円 |
それでは「国民年金に15年間加入し、そのうち10年間は保険料を全額納めたが、5年間は半額免除を受けていた」という被保険者が死亡して、死亡一時金が支給される場合の金額を計算してみましょう。まず、死亡一時金の計算の基礎となる月数は、保険料を全額納めた10年間の
と、半額免除を受けた5年間の
を合算した150月になります。この月数を支給額を求める表に当てはめると死亡一時金の額は120,000円になります。
もし、2つの給付がもらえる場合は?
では、「夫の死亡により寡婦年金と死亡一時金の支給要件の両方を満たしている」という場合はもらえる遺族給付はどうなるのでしょうか。この場合は、妻の選択で寡婦年金か死亡一時金か、どちらかの給付を選択してもらうことになります。
夫の死亡時に、妻は | ||
寡婦年金の支給要件を満たしていた | どちらか一方を選択して 受け取る |
|
死亡一時金の支給要件を満たしていた |
また、「夫の死亡の当時、子どもが小さかったため遺族基礎年金をもらっていた。そのうえ、夫の死亡時に寡婦年金の支給要件も満たしていた」という場合は、妻が60歳になったとき再婚をしていなければ、寡婦年金ももらうことができます。妻は遺族基礎年金と寡婦年金の両方をもらうことができることになります。
事例で遺族保障を検証(次ページへ)