積み上げた資産はそれぞれ引き継がれます。
経済小説のタイトルにもなった「代行返上」。2002年4月から導入された制度ですが、はじめに「代行返上」の仕組みを簡単にご説明しましょう。
代行返上とは、厚生年金基金が支給する老齢厚生年金の代行部分を国に返すことをいいます。厚生年金基金は代行返上を行うに当たって、代行部分以外のプラスアルファ部分を新しい企業年金制度である確定給付企業年金に引き継ぐことになります。
厚生年金基金は、この代行返上によって、代行部分を持たない確定給付企業年金になります。代行返上が行われた場合の年金は、下図のようになります。
代行返上が行われると、老齢厚生年金については全額国から支給されるので、老齢厚生年金の請求先は国になります。また、プラスアルファ部分については、資産を引き継いだ確定給付企業年金が請求先になります。
厚生年金のもらい忘れに注意!
ご案内したとおり、厚生年金基金に加入したことがある人の年金は、加入者自身だけでなく厚生年金基金の事情によって請求先が変わります。年金の請求漏れが多いのは、前述の2.の転職などで短期間厚生年金基金に加入した人の年金のケースがほとんどです。自分の年金資産が企業年金連合会に引き継がれていることを忘れている人(年金資産が企業年金連合会に引き継がれたときには、 企業年金連合会から本人に引き継ぎのお知らせを送付しています。)や、退職時に受け取った一時金で精算済みと勘違いしている人も多いようです。
日本年金機構のHPなどを利用して年金の加入記録を調べると、厚生年金の加入記録の中で厚生年金基金の加入の有無を確認することができます( 「35歳まで!年金加入期間を必ずチェック」参照)。1ヵ月でも厚生年金基金に加入したことがある場合は、年金資産が企業年金連合会に引き継がれているはずです。
企業年金連合会へのお問い合わせは「企業年金コールセンター(0570-02-2666)」で受け付けています(平成23年8月現在)。「もしかしたら…」と思い当たる人は、1度問い合わせてみるとよいでしょう。
また、各種通知や裁定請求案内が届かなくなってしまうため、住所変更や氏名変更については基金または企業年金連合会に忘れずに届け出るようにしましょう。
厚生年金基金は老齢厚生年金の一部を支給する企業年金制度です(実際の支給額は、国の支給する老齢厚生年金を上回る額になります)。したがって、請求を行わないと老齢厚生年金の年金額が一部欠けてしまうことになってしまいます。公的年金の加入記録だけでなく、厚生年金基金の加入記録も一度確認してみましょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
◆関連リンク
あなたの年金額をシミュレーション
あなたのギモンに回答!「国民年金基金」をもっと詳しく
世代別の人気年金プランはコチラ