赤ちゃんがやってくる前から利用できる制度もあります!

育児休業中に利用できる社会保障制度は?


年金制度の以外にも、出産・育児を行う女性が利用できる社会保障制度があります。利用できるのは、健康保険と雇用保険です。それぞれの制度をみていきましょう。
⇒健康保険からの給付
 「出産手当金」
 「出産育児一時金」
⇒雇用保険からの給付
 「育児休業基本給付金」
 「育児休業者職場復帰給付金」

健康保険からの給付~Part1


「出産手当金」
健康保険からは、出産した女性に対して2つの給付があります。
まず1つは、産前産後休業を取得して会社から給与が支給されない場合に支給される「出産手当金」です。出産に伴い、女性は産前6週間、産後8週間の休業を取得できます。出産手当金は、休業した日1日ごとに支給される給付です。支給額は以下の計算式で計算します。

1日当たりの出産手当金(1円未満四捨五入)=標準報酬月額÷30×2/3     
※標準報酬月額は「すぐわかる!年金額の計算方法」を参照

では、事例を使って出産手当金を計算してみましょう。
(例)標準報酬月額 24万円の場合
1日当たりの出産手当金 24万円÷30×2/3=5,333円(1円未満四捨五入)
   産前6週間(42日)産後8週間(56日)休業すると
5,333円×98日=522,634円⇒支給額

また、産前休業は出産予定日からさかのぼった6週間前が休業の開始日となります。出産手当金の支給期間も出産予定日を基準として、原則は以下のような支給期間となります。
 

ただし、実際の出産日は予定日とは別の日になることがあります。その場合の出産手当金の支給期間は以下のようになります。

●出産が予定日より遅れた場合
 


赤線部分が「産前休業」に加算され、出産手当金の支給期間が長くなる。

●出産が予定日より早い場合
 


産前休業が短くなり、出産手当金の支給期間が短くなる
 

健康保険からの給付~Part2


「出産育児一時金」
もう1つ、健康保険から支給される給付が「出産育児一時金」です。出産育児一時金は出産した子ども1人につき、35万円が支給されます。双子以上の出産であれば出産した子どもの数に35万円を掛けた金額が支給されます。

出産は病気ではないので、基本的に出産のため病院に入院して出産しても健康保険が使えません(異常分娩を除く)。以前は出産費用を全額支払った後、出産育児一時金を請求して支給される制度のみでした。この制度に加えて、現在は事前に手続しておくと、出産した病院に出産育児一時金が支払われ、出産費用との差額を病院に支払うか病院から還付される事前請求の制度が利用できるようになりました。
 

雇用保険からの給付~Part1


「育児休業基本給付金」
雇用保険からも2つの給付が支給されますが、こちらは女性に限らず男性の育児休業にも支給される給付です。ただし、育児休業を取得する前2年間で通算12ヵ月以上雇用保険に加入していなければ支給されません。

まず1つは、育児休業を取得中、会社から給与が支給されない場合に支給される「育児休業基本給付金」です。育児休業基本給付金は、子どもが1歳(保育園に申し込んでも入園できない場合などは1歳6ヵ月)になるまで支給されます。子どもが3歳になるまで子育てのために休業しても、延長して支給されることはありません。

育児休業基本給付金の支給額は、育児休業の開始日前日からさかのぼった6ヵ月間に支給された給与(賞与は除く)の総額を180で割った金額の30%が1日分の支給額です。ただし、育児休業基本給付金は以下の図のように、育児休業期間を育児休業開始日から1ヵ月ずつ区切っていき(下図の「支給単位期間」)、1支給単位期間につき30日分が支給されます。育児休業の終了日が含まれる支給単位期間のみ、実際に休業した日数分の育児休業基本給付金が支給されます。
 

※厚生労働省HPより

では、事例を使って育児休業基本給付金を計算してみましょう。
(例)育児休業前の6ヵ月間の給与総額が1,440,000円の場合
   1日当たりの育児休業基本給付金
1,440,000円÷180日×30%=2,400円

   育児休業の期間が上図の期間であると
2,400円×30日×10ヵ月(2/4~12/3まで)=720,000円
2,400円×4日(12/4~7まで)=9,600円
   となり、729,600円が支給されます。
 

雇用保険からの給付~Part2


「育児休業者職場復帰給付金」
もう1つは、育児休業終了後職場復帰した場合に支給される「育児休業者職場復帰給付金」です。育児休業者職場復帰給付金は、育児休業が終了して元の職場に復帰した6ヵ月後に支給されます。支給額は、育児休業の開始日前日からさかのぼった6ヵ月間に支給された給与(賞与は除く)の総額を180で割った金額の20%(平成22年3月31日まで)で、育児休業基本給付金の支給日数分が支給されます。

では、先ほどの事例で育児休業基本給付金を受けた人が職場復帰をした場合の、育児休業者職場復帰給付金を計算してみましょう。
(例)1日あたりの育児休業者職場復帰給付金
1,440,000円÷180日×20%=1,600円
1,600円×(30日×10ヵ月+4日)=486,400円⇒支給額

「少子高齢化」という日本の人口構造の変化は、年金制度だけでなく健康保険や生活保護など他の社会保障制度にも、大きな影響を及ぼす変化です。国も子育てする女性を支援する制度作りに懸命です。制度はあっても制度そのものの存在がわからないと、利用しないまま時間が過ぎてしまいます。出産と育児の負担は、お金や休暇の問題だけではありませんが、その負担を少しでも軽くするために国が用意した制度を大いに利用してみましょう。

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