結婚当時までさかのぼって記録は分割。記憶もさかのぼると… |
離婚時の年金分割~3号分割Part2
それでは、平成20年4月以降に離婚する場合で、第3号被保険者期間がある場合の離婚分割の簡易的な例を具体的にみていきましょう。まずはじめに、平成20年4月から離婚までの第3号被保険者期間に相当する期間の標準報酬総額(図の場合は夫の標準報酬総額)を自動的に2分の1、第3号被保険者(図の場合は妻)に分割します。
次に、結婚時以降の期間全体の標準報酬総額を分割します。上図の夫婦の場合、結婚後夫婦とも厚生年金に加入していた期間と平成20年4月以降の第3号被保険者期間でまず最初に3号分割を行った期間を合算して分割を行うことになります。また、分割割合は上限の2分の1で分割するものとします。
つまり、平成20年4月以降に離婚分割を請求すると、まず3号分割が行われ、3号分割後の夫婦それぞれの標準報酬総額に基づいて離婚分割が行われることになります。上図の例では、具体的に、夫の標準報酬総額は7,000万円(6,000万円+1,000万円)、妻の標準報酬総額は3,000万円(2,000万円+1,000万円)で離婚分割の協議が行われることになります。
この夫婦の場合、分割割合を2分の1とすると、最終的に、離婚分割によって、夫の標準報酬総額は5,000万円、妻の標準報酬総額は5,000万円となります(実際にはより細かい計算となります)。
日本の人口1,000人当たりの離婚件数は2.04件(平成18年全国平均)で、アメリカやロシア、お隣の韓国などに比べると低い数値となっています。離婚時の年金分割が始まることで「熟年離婚が増えるのでは?」という声も聞かれましたが、制度が始まってまだ1年足らず。実際に離婚増加の原因となっているかどうかはわかりません。
離婚時の年金分割は、離婚を後押しする制度ではなく、「結婚期間中は夫婦共同で保険料を負担していた」ものであるということが前提とされる制度です。離婚しなければ将来2人でもらうはずの年金を分割するので、離婚で得をしたり損をするわけではありません。知識として知っておいても、利用せずに老後を迎え、夫婦円満に楽しい老後を過ごすのが一番なのではないでしょうか。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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