保険料負担のない第3号被保険者制度は専業主婦の強い味方! |
第1号~第3号の被保険者種別のうち、専業主婦に該当者の多い第3号被保険者は、平成23年始めに「運用3号」問題が大きく取り上げられました。これは第3号被保険者の資格を喪失した人で、第1号被保険者への手続きを忘れてしまった人を運用3号期間として救済しようとしたものでした。しかし、きちんと第1号への手続きをして保険料を納付した人と比べて不公平であるとの声が多く、通達は廃止されました。5月現在も、運用3号期間をどのように取り扱うのか法改正を含めて検討が続いています。この「運用3号」の問題は、「第3号被保険者がどんな人が該当するのか」、「どんな手続きが必要なのか」が十分理解されていなかったことも原因の1つかもしれません。ここでは再度「第3号被保険者」という制度をみていきましょう。
<INDEX>
・第3号被保険者の始まりは?(1ページ)
・第3号被保険者の年金の財源は?(1ページ)
・第3号被保険者はお得?(1)(2ページ)
・第3号被保険者はお得?(2)(3ページ)
第3号被保険者の始まりは?
日本で最も古い年金制度は、明治8年に海軍で始まった恩給制度であるといわれています。現在までさまざまな改正を重ねてきた年金制度ですが、国民皆年金が実現したのは昭和36年、旧法の国民年金がスタートです。旧法の国民年金がスタートして、これまで年金制度に加入できなかった自営業者や農業、漁業従事者も年金制度に加入できるようになりました。ただし、この時点では学生や会社員の妻である専業主婦は、国民年金の任意加入の対象でした。つまり、「会社員の夫と専業主婦の妻」という夫婦の場合、夫に支給される老齢厚生年金を夫婦2人分の年金と考えて、加給年金を終身で夫の老齢厚生年金に加算するしくみでした(現在は妻が65歳になると、加給年金は妻の振替加算に変わります)。
また、結婚前に会社勤めをしていて厚生年金に加入していた人も、退職時に脱退手当金を受け取って厚生年金の保険料を精算してしまうことが多かったので、自分の老齢年金がもらえる専業主婦はそう多くありませんでした。
そこで、昭和61年の年金改正が行われたとき、将来はだれでも必ず年金がもらえるよう、厚生年金や共済年金の加入者(主に夫)に扶養される被扶養配偶者(主に専業主婦)を国民年金の第3号被保険者とする制度がスタートしました。
第3号被保険者の年金の財源は?
国民年金の被保険者のうち、国民年金の保険料として月額15,020円の保険料を納めているのは第1号被保険者のみです。厚生年金に加入する第2号被保険者が毎月の給与や賞与から天引きされる保険料は、厚生年金の保険料として国に納められています。第2号被保険者として、国民年金の月額15,020円の保険料は直接納めていません。また、第3号被保険者は保険料の負担が全くありません。これは、第2号被保険者が負担する厚生年金の保険料と会社が負担する厚生年金の保険料を合算して厚生年金制度に納めた後、厚生年金制度は第2号被保険者と第3号被保険者の国民年金の保険料負担分を合算し、「基礎年金拠出金」として国民年金制度に拠出しているためです。
基礎年金拠出金の額は、国民年金の被保険者の総数に占める第2号被保険者と第3号被保険者の合計数の割合により決まります。第3号被保険者は保険料を負担していませんが、基礎年金の給付に必要な費用は、厚生年金制度全体で支えています。国民年金の費用の負担をまとめてみると、以下のような形になります。
第3号被保険者のメリットとデメリットは?(次ページへ)