株式分割による株価上昇は心理が影響…
ライブドア事件を受けて、“株式分割”という言葉がマスメディアに頻繁に登場します。一昔前までは“無償増資”と呼ばれるほど、株主にとって魅力的なものでした。この要因のひとつに、人は時々非合理な行動をとってしまうというものがあります。この行動は、株式に限らず、日頃の生活の中でも頻繁に登場します。今回は、そのマネー感覚について触れてみます。
まずは、株式分割の基礎的な知識からです。既にご存知の方は、
株式分割は“資産価値は変えずに株数を増やす”こと
株式分割は、1株の株式を2株に増やすなど、株式会社の発行する株数を増やすことです。
例えば、一人の株主から10万円のお金(資本)を出してもらい会社を設立し、株主にお金を出してもらった見返りに会社が1株の株券を渡し(発行し)たとします。
この場合、一人当たりの出資金は10万円で、株券は1枚(1株)しか存在していません。
1株を2株にする株式分割を行なうと…
つまり、
株券が1枚から2枚に増えましたが、会社の資金額も株主の資金額も変化はありません。しかし、株券の枚数(株数)は1枚(1株)から2枚(株)になったため、1枚(株)当たりの金額は半分になりました。
株数が増え1株あたりの価格が下がると売買しやすくなる
例えば、この株主が「5万円なら出資し続けられるが10万円を出し続けることが困難になった」とすると、株主は自分に代わってお金を会社に出してくれる人を探すことになります(会社にお金を出す人が入れ替わる=株式売買)。
株式分割前であれば、1株(=10万円)しか発行されていないため、10万円(1株分)を出してくれる人を探さなければなりませんが、分割後であれば、2株に増えるため、自分は1株(=5万円分)を保有したまま、残りの1株分(=5万円)を購入してくれる人を探せばよいことになります。
つまり、株式分割をすると、たくさんの人が会社に出資することができ、一人当たりの負担額(投資金額)も少なくて済むわけです。
システム的要因による株価上昇
株式分割をすると株価上昇につながりやすいのですが、その要因のひとつにこれまではシステム的な要因がありました。
従来、株式を分割した後、増えた株券が市場で流通するまで50日ほどかかっていましたので、株主は50日もの間、増えた株券(ここでは水色の株券)を売却することができず、株式を買う人の人数の方が売る人の人数を上回るため株価が上昇しやすいという現象がありました(現在は、翌日から売却できます)。