1986年~1991年の景気拡大期の金利と株価の関係
今回の景気拡大は、バブル形成期の1986年から1987年頃に似ているという人も多いようです。そこで、当時の金利の関係から、株価ピーク時期を探す手がかりがないかを見てみます。
1986年11月の景気の底から半年遅れの1987年5月ごろから長期金利が上昇を始め、1989年7月には長期金利と短期金利の逆転が起こります。そして、5ヵ月後の1989年12月に株価はピークをつけます。
金利はその後も上昇を続け、まず長期金利が1990年12月にピークをつけ、1991年2月に景気がピークとなり、短期金利は少し遅れた1991年3月にピークになっています。
つまり、「長短金利上昇→長短金利逆転→株価高値→長期金利ピーク→景気ピーク→短期金利ピーク」と推移しました。
長短金利の逆転は要注意! |
*短期金利=無担保コールレート翌日物月末値、長期金利=東証上場国債(10年物)最長期利回り(月末値)いずれも日銀HPより:いずれも平均値ではなく月末値のためブレの大きいグラフになっています。また、長短金利は採用する指標によっても結果が多少異なることにご注意下さい
1986年~1991年の景気拡大期は、長短金利の逆転時期が株式売却判断のシグナルポイントだった!
金利や株価の動きがいつも全く同じように動くわけではありませんが、1986年~1991年の景気拡大期の場合には、長短金利が逆転を起こし始めた(短期金利が長期金利を抜いた)1989年7月ごろから徐々に株式のウエイトを落とす戦略をとり、1989年12月ごろには株式のウエイトをかなり下げていた人が、成功者ということになります。
現在、長期金利=長期国債(10年物)新発債(月末値)は、既に2003年5月を底に上昇傾向にあります。今回の景気拡大の過程では、従来にはない量的緩和策が長い間とられてきたため、本来なら短期金利にも反映されるはずの金利変動がなされないまま今に至っており、今後の金利動向は従来とは異なることも予想されます。
過去を知った上で、どういう事態になっても、保有資金トータルで大きなダメージを被らないような資産配分を考えておく必要があります。
/上野博美
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