株式でもうけるって、どういうこと?
難しい話は、イメージで理解するほうが簡単かも?! 前ページの物語の続きです。ある時、山本さんには、まとまったお金が必要な事情ができました。田中さんのパン工場に投資したお金を返してもらえればいいのだけれど、返さなくていいと約束してしまったものなので、返してほしいとは言えません。
そこで山本さんは、友人たちに相談しました。すると、ある友人は「山本さんがもっている田中パン工場の株式を、1株1万円で買い取ってあげよう」と言いました。別の友人は、「僕なら1株1万1,000円で買うよ。田中パン工場は売り上げが伸びていて、配当金がたくさんもらえるらしいから、前から欲しかったんだ」と言いました。また別の友人は、「1万2,000円で買いたい」と言い、さらに別の友人は「1万3,000円で買いたい」と言いました。
山本さんは、1株1万3,000円で買ってくれるという友人に株式を全部、売ることにしました。最初1株1万円で買った株式が、1株1万3,000円で売れたので、山本さんは「株式の売買で、1株につき3,000円の利益を出す」ことができました。
解説
田中パン工場のように業績がよい会社の株式は人気が出て、買いたいという人がたくさん現れます。するとこのお話のように、値段が上がっていきます。値段が安い時に買った人は、値段が上がった時に売れば、もうかります。反対に人気のない株は、買ってくださいと頼んでも「安ければ買うけど、高いなら買いたくない」と言われてしまうので、値段が下がっていきます。山本さんは自分の友人に株式を売りましたが、買ってくれる人がいつも簡単に見つかるとは限りません。そこで、全国、全世界から「買いたい人」や「売りたい人」が集まって売買をするという場があります。それが東京証券取引所などの「証券取引所」です。しかし証券取引所に全員が集まっても混雑するばかりで収拾がつきませんから、実際には証券会社が代表して売買しています。私たちが証券会社に「○○社の株式を△△円で買いたいです」と注文すると、証券会社は証券取引所でその情報を出します。その時「○○社の株式を△△円で売りたいです」という注文を出す人がいれば、交渉成立ということになって、売買が行われます。証券会社にどうやって注文を出すのか、については、こちらの記事をご覧ください。
■「いまさら聞けない 株式投資の始め方」
証券取引所で売買できる株式は一定の審査に合格した会社の株式だけです。合格して、証券取引所で取引できる状態になることを「上場する・じょうじょうする」といいます。上場していない会社の株式は売買相手を探すのが大変ですから、私たちが株式投資をする場合は上場している会社の株式で行うのが一般的です。