確定拠出年金(DC、日本版401k)、転職・退職後の手続きは?
確定拠出年金(DC、日本版401k)を導入している企業が増えています。確定拠出年金とは、DCや「日本版401k」などと呼ばれ、個人ごとに年金を運用しようというもの。自分自身で運用方針などを決めることができます(この記事では、確定拠出年金をDCと略して説明します)。 確定拠出年金は、転職や退職をした時に、その人の年金運用を次の転職先などにスムーズに移行することができるものです。このDC制度のいいところですよね。会社が変わっても、自分自身の年金運用は継続できるので、安心して長期運用を考えることができます。ところが、転職や退職をする時に、移行の手続きを忘れていては大変なことになります。今回は、転職や退職時に必要となる DCの手続きなどをご紹介しましょう。
<目次>
- 個人で運用を決める、確定拠出年金とは?
- 企業型DCと個人型DC(iDeCo)
- 加入者と運用指図者
- 転職先がDCを導入しているか、がポイント
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)への手続きは金融機関へ
- 起業の場合は個人型確定拠出年金(iDeCo)に
- 専業主婦・公務員は確定拠出年金(iDeCo)に加入が可能
- 確定拠出年金の退職後手続きは、半年以内に!
個人で運用を決める、確定拠出年金とは?
まずは、少し確定拠出年金(DC)のおさらいをしておきましょう。DCは公的年金に上乗せされる部分の年金です。加入者自らが掛金を個人ごとに運用し、その結果をもとに年金給付額が決められるというものです。従来の公的年金の上乗せ部分といえば、厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金制度でした。これらの企業年金は、中小企業や自営業者に利用する機会が少なく、転職などをすると資産の持ち運びが難しいという点がありました。
これらを受けて、個人でも加入でき企業に依存をしない「DC」が導入されたということです。
企業型DCと個人型DC(iDeCo)
確定拠出年金には、企業型年金と個人型年金(愛称:iDeCo)の2種類があります。企業型確定拠出年金は、この年金を導入している企業が実施するもの。その企業に勤務する従業員が加入できます。個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できるのは、以下の通り。
- 自営業者等(国民年金第1号被保険者)
- 厚生年金保険の被保険者(国民年金第2号被保険者、企業型年金に加入している人は一部加入不可)
- 専業主婦(夫)等(国民年金第3号被保険者)
平成29年1月より、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者の範囲が拡大し、公務員や専業主婦なども加入できることになりました。
確定拠出年金(DC)の加入者と運用指図者
確定拠出年金(DC)には、掛金を拠出している「加入者」と、掛金を拠出せずに年金資産を運用指図するだけの「運用指図者」がいます。 この運用指図者は、新たに掛金を積み立てることなく、その時の資産だけを運用することです。企業を退職した人や、個人型DCに加入していたが積み立てをやめた人など、です。このように確定拠出年金(DC)は、転職や退職をしても年金資産の持ち運びが容易に行えるということでしたが、具体的にどのような手続きをすればいいのでしょうか?
転職先がDCを導入しているか、がポイント
DCの加入者は、転職や退職のタイミングで資産の移換先を探す必要がある
■転職先の企業が企業型確定拠出年金を導入している時
転職先の企業型確定拠出年金に加入し、今までの資産も移換することになります。転職先で手続きをしましょう。
■転職先の企業が企業型確定拠出年金を導入していない時
積み立てた資産は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換することになります。新たに、個人型確定拠出年金(iDeCo)に掛金を拠出するかどうかも選べます。今後も積み立てを続けるなら加入者として、今までの資産を運用するのみなら運用指図者として、移換しましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)への手続きは金融機関へ
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、各金融機関で取り扱われています。 都市銀行、信用金庫、証券会社、ゆうちょ銀行(郵便局)、JA、保険会社などで扱われています。まずは、移換先の金融機関を選びましょう。手数料や取り扱い商品数などをチェックして選ぶといいですね。移換する金融機関が決まれば、その金融機関で手続きを行うことができます。
起業の場合は個人型確定拠出年金(iDeCo)に
起業をするなど自営業となる場合は、国民年金第1号被保険となります。この時は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換することになります。新たに、個人型確定拠出年金(iDeCo)に掛金を拠出するかどうかも選べます。今後も積み立てを続けるなら加入者として、今までの資産を運用するのみだと運用指図者として移換しましょう。専業主婦・公務員は確定拠出年金(iDeCo)に加入が可能
国民年金弟3号被保険者(夫の扶養に入っている専業主婦など)や公務員は、平成29年1月から個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入することができるようになりました。積み立ててきた資産は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換することになります。新たに、個人型確定拠出年金(iDeCo)に掛金を拠出するかどうかも選べます。今後も積み立てを続けるなら加入者として、今までの資産を運用するのみだと運用指図者として移換しましょう。確定拠出年金の退職後手続きは、半年以内に!
これらの手続きですが、全て退職後半年以内にするようにしてください。半年を過ぎてしまうと、「国民年金基金連合会」に自動移換されてしまいます。移換されると、運用されずに現金で保管され、手数料もとられてしまいます。運用益もなく手数料をとられるということになってしまいますのでご注意を。自動移換された後は、DCの加入期間にもカウントされません。年金の受取り可能時期が遅くなる場合もありますし、そもそもそのままでは給付を受けることができません(給付を受けるには個人型確定拠出年金に資産を移換することが必要)。メリットが何もないこの自動移換。退職後の半年なんてあっという間に過ぎてしまうものです。大切な年金資産を目減りさせないためにも、忘れずに手続きをしましょう。