結婚後の妻の働き方の注意点は
妻が専業主婦の場合は、夫の収入のみで生活していくことになります。収入源がひとつですから、家計管理はしっかりとしておきたいもの。少なくとも、毎月の収入と支出は把握して、将来に向けて貯蓄できる家計体質にしておきましょう。将来は出産や育児、教育費で必要になるお金が増えていくことが予想されます。結婚直後は、生活費を一番低く抑えられる時というのを忘れずに。
まず、夫の保険を充実
夫の収入のみで生活をしているわけですから、夫に万が一のことがあっては大変。妻がすぐに働くことができるかどうかもわかりませんので、まずは夫の保障を充実させることが大切です。生命保険には最低でも1000万円は加入したいもの。妻がまた働いて生活費をまかなうとしても、お葬式や当面の生活費などでこれくらいは準備しておきたいですね。妊娠がわかったら、保障の上乗せが必要です(記事「結婚した時、加入するべき保険は?」参照)。医療保険も忘れずに加入しておきましょう。夫の収入だけで成り立っている家計だということを忘れずに。
次に妻の保障も考えておきましょう。もちろん、夫ほどの保障額はいりませんが、妻に何かがあった時でも、お金は必要になってきます。
夫が自営業などで国民年金、国民健康保険に加入している場合は、さらに保障を手厚くしておきましょう。子がない妻は夫の遺族年金も受給できません(厚生年金の場合は、遺族厚生年金が受給できます)。また、病気やケガで働けない場合、会社員などは傷病手当金が支給されますが、国民健康保険ではそのような保障はありませんよ。
教育訓練給付制度を利用してスキルを取得
夫の収入だけで生活していくにはリスクが高い時代になってきました。イザという時には妻も働けるように準備をしておきたいもの。少しでも働きやすいように、資格取得などの働くスキルを磨いておくのはいかがでしょうか?この時、雇用保険の教育訓練給付制度を利用するといいでしょう。退職して1年以内(出産・育児などの特別な事情がある場合は、ハローワークに申し出ることによりその期間延長可能。細大20年)であれば、この制度を利用することができます。従来からあった一般教育訓練給付は、雇用保険の被保険者であった期間が3年間(初めての受給は、当分の間1年以上)などの支給要件を満たせば、指定講座の受講料金の20%(上限10万円)が支給されます。
また、平成26年から新たに専門実践教育訓練給付が始まりました。看護師や保育士、介護福祉士などの資格を習得するような専門的な講座が対象。雇用保険の被保険者であった期間が3年以上(初めての受給は、当分の間2年以上)などの要件を満たせば、指定講座の受講料金の50%(1年間の上限40万円、最長3年間)などが支給されます。
これらの制度を利用して、妻のスキルアップを目指すのも手です。
他にも、パートで働く、結婚後も変わらずバリバリ働くなどのパターンがあります。
パートで働く:扶養内で働くとは?
主婦のパートといえば「年収103万円以内」でないといけないと思っている人が多いようです。この年収103万円というのは、自分自身が所得税を払わないライン。また、会社の家族手当などの支給要件が年収103万円以内というところも多いようです。また、「年収150万円以内」におさめるという人もでてきました。こちらは、夫の所得税の計算の時、配偶者控除等が最大が受けられるラインなのです。ただ、これらの税制メリットはあまり恩恵がありません。年収103万円、150万円などは気にせず働くのがベストです。
他にも社会保険料の負担がかかる「130万円の壁」があります。夫が会社員や公務員などの場合、年金や健康保険の社会保険の扶養に入れるのが年収130万円までです。年収130万円を超えた時点で社会保険料の負担がかかってきます(記事「103万円だけではない 130万円にも扶養の壁」 参照)。
さらに2016年10月からは「106万円の壁」もでてきました。勤務先の従業員が501人以上の企業などの条件にあてはまる場合は、年収106万円から自分自身で厚生年金と健康保険に加入することになります。ただし、自分自身で社会保険に加入できると、保険料の負担が増えますが、将来の老齢年金額が増えるなど保障が充実するのでメリットも多くあります。また、今後パートの社会保険の適用範囲は拡大していくことが決まっています。
結婚直後で時間に余裕があり、働く環境も整っているのであれば、キャリアアップなども考えてしっかり働くのがよいでしょう。「106万円の壁」「年収150万円の壁」などを超えて年収160万円ほどになれば世帯収入もかなり増えるので、扶養の範囲内と意識せず働くのも得策です。
保障は専業主婦と同程度は必要
パートで働く場合も、保険は専業主婦の時と同様に、夫の生命保険や医療保険はしっかりと入っておきましょう。また、妻の医療保険も充実させておけば安心です。また、時給を少しでもあげることを考えておきましょう。誰でもできる仕事ではなく、自分だからこそできる仕事をみつけておくことが大切です。前述の「教育訓練給付制度」などを利用してスキルアップを図りましょう。 結婚後も変わらずバリバリ働く場合です。
共働き:どんぶり勘定には気をつけて
結婚後も以前と変わらずバリバリと働く女性も増えてきました。いわゆる「ダブルインカム」で、家計もかなり余裕があるはず。ここでよくあるのが「どんぶり勘定」になるパターンです。ある程度の収入があるので、何も考えなくても家計が回るため、お金の流れが把握できていないことが多いようです。この生活が続く間は問題がないのですが、出産などで妻が退職したり休業すると、事態が一変します。この時に生活費を圧縮するというのは難しいもの。普段からお金の流れを知っておくことが大切です。おすすめは、妻の収入は全て貯蓄をすること。夫の収入の範囲内で生活をしておくということ。これなら、妻が働かなくなっても慌てることはありません。
出産後のキャリアプランを考える
結婚で仕事を辞めることを考えない女性でも、出産となると話が変わってきます。育児をしながら仕事を続けるには相当の覚悟が必要です。働き続けやすいように結婚直後から情報収集をしておくことが大切です。まずは、子どもの預け先などを見つけておきましょう。住んでいる自治体によって、保育料も変わりますし、保育所の環境も変わってきます。住む場所を選ぶ時に、このような情報を収集しておくのもポイントです。 他にも、子育て支援などもチェックしておきましょう。
また、出産後のキャリアプランを考えておくと安心です。在宅でできる仕事などにシフトしておくと、働き続けやすいでしょう。また、復職がしやすいようにキャリアアップを図るのも大切ですね。
いかがでしたか? 結婚後の妻の働き方によって注意するポイントを並べてみました。結婚をする前、結婚直後にぜひとも検討してみてください。