為替は資産運用にどう影響?
さて、円安になると商品の値段が上がっていきます。これはつまりは1ユーロの値段が上がっていくことを意味します。ということは、5年前にヨーロッパに旅行をする時に両替をしたユーロがまだ手元に残っていれば、その価値が上がって得することを意味します。たとえば、5年前のヨーロッパ旅行で使わなかったユーロが500ユーロあるとしましょう。当時の為替レートで換算すると、その500ユーロx115円=57,500円でした。それが今では1ユーロ160円ですので、500ユーロx160円=80,000円になっています。何もしなくても日本円に換算すると22,500円も得をしたのです。もしタイムマシンが存在すれば、みんな5年前に戻って自分の資産の全てをユーロに換えたいいぐらいですよね。
外貨預金は円高になるとどうなるの?
ここ数週間で円ドルで円高が進みましたので、いま一番気になるのは円高になるとどうなるのか、ということでしょう。5年前のユーロを保有していて為替が円安に進むと為替差益が発生して得をすることは上述しましたが、それは逆に為替が円高になってしまうと損をすることをも意味します。たとえば、1ドル120円の時にドル預金を開始し、しばらくして1ドル110円になってしまうと、1ドル当たり10円損をすることになります。しかもこの場合は10円÷120円=8.3%の損失となるのです。
私たちは預金と聞くと元本保証を思い込んでいますが、外貨預金に関しては、確かにドルやユーロの金額で元本割れを起こすことはありませんが、為替差損の影響で日本円に換算すると元本割れを起こすリスクがあります。この点は注意が必要です。なお、それでも為替商品が人気なのは金利面での魅力にあります。
外貨預金の金利は?
銀行預金には金利がつきます。外貨預金にも当然金利がつきます。外貨預金をする人たちは、さらに円安が進むことによる利益(為替差益と呼びます)を得ることを期待していると同時に、外貨預金で得られる利息にも着目しています。ドル、ユーロ、円の中では、預金金利はドルが最も高く、これが多くの人がドル建ての外貨預金に流れた理由でもあります。
去年は日本では日銀がゼロ金利を解除したことが話題になりましたが、日本の金利はまだまだ超低金利です。欧米の政策金利が4%台なのに対して、日本では0.5%です。銀行の預金金利は基本的には政策金利に準じる動きをしますので、政策金利が分かれば各地域での銀行の預金金利の差を理解することができます。最近はオーストラリアやニュージーランドの通貨での預金も人気ですが、それぞれ政策金利は6%台、8%台ですので、日本の超低金利から見てみると天国のようです。日本の金利がほぼ0%であることを考えると、為替差益が大したことなくても外貨預金をしたいと考える人たちが増えても理解できます。
次回は為替はどういう理由で動くのか、見てみます。