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ロジックで読み解く郵政民営化 三角ロジックで観る郵政民営化(3ページ目)

今最もホットな話題である、郵政民営化。法案としては、緊急性が極めて薄いともいえる法案ですが、なぜ、いま「民営化」なのか?ビジネス英語に欠かせない、ロジックで、読み解いてみます。

竹村 和浩

執筆者:竹村 和浩

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国民のメリットは少ない?

この点、国民は、デメリットの方が多くなると思われます。郵貯最大のメリットは、安心してお金を預けられるということであり、まずこれが失われます。しかも、これまでどおりのサービスは、民間の経営論理の前には、維持し得ないと恐らく誰もが直感的に分かるはずだからです。(また、そうならないという具体的なデータもありません。)

そうすると、具体的な中身はほとんど、民営化後に考えるという国の法案とも思えない、法案の成立を急ぐ理由は、他に、メリットがあるからとやはり、推論せざるを得ません。しかも、これはロジックがねじれてしまっています。国民や、国としてのデメリットを上回る、大きなメリットがあって始めて、「だから民営化すべし」となるべきだからです。

ここでは「民営化」すること自体が法案の目的と受け取られてもおかしくありません。

ここに、民営化を期に、「金融専業」の枠をはずすことが目的であるという仮説を改めて見てみると、かなりの面での説明が可能になってきます。

しかも、日本の銀行金融機関にメリットがあるかといえば、一見、ありそうにも思えますが、まだ、日本には、本格的な「金融コングロマリット」なるものが、存在しないという点を考えると、既に存在する、海外の「金融コングロマリット」に有利に展開することは明白です。(かつて三井住友銀行と大和證券が、グループ統合されるという報道がありましたが、それはまだ実現していません。)

また、民営化後の郵政は、他の金融機関との提携の仕方次第では、潤沢な郵貯のお金が、市場や、民間に流れるという漠然とした期待のみで現在は支持している「民間」企業の多くを、新たな「金融コングロマリット」が買収するための資金として使われるだけともなりかねないのです。

しかも、そのリスクを勿論この法案は、まったく勘案していません。

郵貯は、経済大国日本の本丸?

この次に何を構築するのか?というヴィジョンが明確でないままに、既存の構造の解体だけを先に決定し、進めてしまうのは、非常に危険な試みのように私には、思えます。

本来、郵政改革とは、特殊法人や、国によるずさんな財政投融資を防ぐためのものであったはずです。しかもその目的は、公社化でいったん実現できたはずなのです。これに具体的なメリットが明示されないままで民営化に突き進むには、説得力のある、明確な理由付けが必要とされるはずです。

「改革の本丸」だと攻め落としてみたら、実は、経済大国を支える、「自国の本丸」を攻め落としていた!という結果にならないことを祈るのみです。

なんのための「民営化」なのか?この原点に立ち返った議論を、参議院では是非、期待したいところです。また、そこにこそ、参議院の役割もあるはずだからです。

党利・保身ではなく、真に国の将来に責任を持とうとする信念と志のある政治家を見極める絶好の機会となるかもしれませんね。

皆さんも、この郵政民営化問題を期に、是非ご自身なりの推論と仮説を、ロジカルに構築してみては、いかがでしょうか?
あなたは、「民営化」のナゼにどう答えられますか?

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