自分がうまくいかないのは人のせい? 社会が悪い?
他人のせいにすれば傷つかなくてすむけれど、現実に即した考え方ができなくなってしまう
自己中心的な考え方は、ストレスから自分を守る盾になります。「自分は悪くない。他人や社会が悪いのだ」と思うことができれば、「自分にも責任がある」と考えなくてすむからです。しかし、その考え方が強すぎると、さまざまな弊害が生じてしまいます。
一つは、他人を見下してしまうことです。これが続くと、他人と協調することが難しくなり、傲慢な態度で他人に接してしまうこともあります。すると、チームワークで仕事を進め、仲間と苦労を分かち合う力が身につきにくくなるため、社会に適応していく力が育ちにくくなってしまいます。
また、自己中心的な考え方をしていると、学校や職場などの環境にも不満を感じることが増えてしまいます。「うまくいかないことのは周囲のせいだ」と思い込んでしまうため、人と関わることや外出を苦痛に感じてしまう方もいるでしょう。
自分を変えるきっかけの一つに……傾聴法やファシリテーションの学び
自分を変えていきたいと感じるなら、今までと違うコミュニケーション方法をとり入れてみるのも、一つの方法です。人の話をじっくり聴くことで、自分を見つめ直すこともできる
傾聴法は、相手の話をしっかり聞き、相手の感情に寄り添う一対一のコミュニケーション技法です。ファシリテーションは、グループの参加者が互いの意見を参考にできるように調整する、集団のコミュニケーション技法です。
ワークの中で一対一の会話、あるいはグループでの会話のやりとりを経験することで、他人の話を聞き、多様な考えを受け止め、理解するという習慣が身につくようになります。続けていくと、自分の思考や行動の傾向を振り返ることができるようになると思います。
人のせいにする人に周囲ができること1.会話を重ねて理解を深めていく
家族や友人に自己中心的な考え方をしていると思われる人がいる場合、どのように関わっていくとよいのでしょう? 相手の言葉の使い方や態度を受けたときに、どのような気持ちになるのかを伝えることから始めるのが一つの方法です。たとえば、「○○と言われれると、私は傷ついてしまう。○○という言い方なら、私は受け入れやすい」というように、自分の感じ方や希望を伝えてみましょう。「私は悪くない、あなたが勝手にそう感じているのでは?」などと言って、素直に話を聞いてくれなくても、あきらめずに伝え続けていきましょう。すると、本人はやがて、自分の考え方やコミュニケーションの傾向、その影響について気づいていくと思います。
人のせいにする人に周囲ができること2.サポートを与えすぎない
自分のことを自分でやることにプラスして、周囲のためにできることをやってほしいと促してみましょう
たとえば、親との同居生活のなかでは、少なくとも自分のことは自分でする、さらに、同居している家族のためにできることを行うように促してみることから、始めてもらうのも一案かもしれません。
たとえば、自分が食べた後は自分で片づけること。そこにプラスして、さらに何ができるかを考え、実行してもらうように促してみましょう。自分が食べた皿を洗った後に、キッチンのシンクをざっと掃除をしてもらうだけでも、家族はとても助かります。このように、自分のことにプラスして、ほんの少し周囲のためにできることを実践してもらえば、本人の心に他人に対する配慮の気持ちが生まれてくると思います。
自己中心的な考え方や行動を続けていると、他人との摩擦が増えてしまいますし、生きづらさを感じる機会も増えてしまうでしょう。長い人生をできるだけ楽な気持ちで生きていくためにも、考え方の傾向を見直しながら、できることから改善していくとよいと思います。
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