暮らしの歳時記/夏の行事・楽しみ方(6~8月)

【時候の挨拶】8月上旬・中旬・下旬の季節の挨拶と結び文、ビジネスやカジュアルに対応

8月の季節の挨拶「時候の挨拶」には何を書けばいいのでしょう? 書き出しの時候の挨拶文には、ビジネスや学校関係で出す文書・お礼状・目上の方向けの漢語調、またプライベートの親しい友人・知人向けのカジュアルな口語調があります。いつ使うのかがわかるよう上旬・中旬・下旬に分けて、例文や結びの文、コロナや健康に関する挨拶文、8月に使える季節の話題などをご紹介します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

季節の挨拶に何を書く? 8月上旬・中旬・下旬の時候の挨拶と結び文

時候の挨拶とは「拝啓」などに続く書き出しの言葉で、季節感をあらわす

時候の挨拶とは「拝啓」などに続く書き出しの言葉で、季節感をあらわす

8月の季節の挨拶「時候の挨拶」には何を書けばいいのでしょう? 時候の挨拶とは「拝啓」などの頭語に続く書き出しの言葉で、季節感を表します。

時候の挨拶には、ビジネス文書や学校関係で出す文書、お礼状・目上の方向けの「漢語調」と、プライベートの親しい友人・知人向けのカジュアルな「口語調」があります。いつ使うのかがわかるよう、8月の上旬・中旬・下旬に分け、例文や結びの文、コロナや健康に関する挨拶文、8月に使える季節の話題もご紹介します。
 
<INDEX>   ・8月上旬
  ・8月中旬
  ・8月下旬  

手紙・書類・メール・お礼状で使う挨拶文の書き方や構成

ビジネスや学校関係で出す文書・お礼状、プライベートな手紙などを書く場合、【前文】⇒【主文】⇒【末文】⇒【後付】で構成するのが基本です。基本をもとに、必要に応じて細かい要素を変えながら仕上げていきましょう。
 
<構成>
【前文】……「拝啓」などの頭語 ⇒ 時候の挨拶 ⇒ 相手の安否や健康を気遣うことば ⇒ 自分の近況やお礼など
【主文】……いわゆる本文
【末文】……結びの挨拶。相手の健康や繁栄を祈ることば ⇒「敬具」などの結語
【後付】……日付 ⇒ 署名 ⇒ 宛名

 

「漢語調」「口語調」……時候の挨拶文は相手・場面に応じて選びたい

時候の挨拶には、短く簡潔に表した「漢語調」と話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」がある

時候の挨拶には、短く簡潔に表した「漢語調」と話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」がある

時候の挨拶は、その時々の季節感を表した言葉。「立秋の候」のように短く簡潔に表した「漢語調」と、「暦の上では秋となりました」のように話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」があります。
 
漢語調と口語調は、相手や場面に応じて使い分けます。一般的に、ビジネス文書や学校関係の文書などでは、かしこまった漢語調の表現が使われることが多く、文書の格を高めてくれます。一方、パーソナルな文書では、より身近な口語調を使う方が多いです。また、ビジネスであっても、口語調を用いてやわらかにする場合もあります。
 
いずれにしても、ネガティブではなくポジティブなものがおすすめです。
 

8月の季節の挨拶/漢語調の時候の挨拶「ビジネス」編

厳しい暑さの頃を表す「厳暑の候」。「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできる

厳しい暑さの頃を表す「厳暑の候」。「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできる

ビジネスシーンでは、かしこまった漢語調の時候の挨拶を使うのが一般的。目上の方への手紙やメールでも使える漢語調の時候の挨拶について、意味とともに例文を交えてご紹介します。時候の挨拶は季節感が大切なため、目安となる時期ごとに紹介しますが、その年によって多少ずれることがあるため、実際の季節感を優先しながら選んでみてください。
 
また、「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできます。

8月上旬の「晩夏の候」「暮夏の候」「厳暑の候」など
暦の上では「立秋」(8月7日頃)以降は秋となるため、8月初めは夏の終わりとなります。また、立秋以降は残暑となるので、夏の暑さを表す時候の挨拶も立秋以降は使いません。いずれも立秋前に使いましょう。
  • 晩夏(ばんか)の候=暦の上では夏も終盤を迎えましたが
  • 暮夏(ぼか)の候=暦の上では夏も終盤を迎えましたが
  • 残夏(ざんげ)の候=夏の暑さが残る時期ですが
  • 厳暑(げんしょ)の候=厳しい暑さの頃ですが
  • 甚暑(じんしょ)の候=甚だしく暑い時期ですが
  • 猛暑(もうしょ)の候=猛烈に暑さ厳しい頃ですが 
<例文>
「暮夏の折、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。」

8月中旬の「立秋の候」「残暑の候」「残炎の候」
  • 立秋(りっしゅう)の候=暦の上では秋となりましたが ※「立秋」は二十四節気のひとつで、8月7日頃~8月22日頃。
  • 残暑(ざんしょ)の候=残暑の頃となりましたが ※「立秋」以降は残暑となります。
  • 残炎(ざんえん)の候=残暑の厳しい頃ですが
<例文>
「立秋の候、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」 

8月下旬~9月初めの「処暑の候」「早涼の候」「初秋の候」
  • 処暑(しょしょ)の候=暑さがおさまる頃となりましたが ※「処暑」は二十四節気のひとつで、8月23日頃~9月6日頃。
  • 早涼(そうりょう)の候=朝晩涼しくなり過ごしやすい頃となりましたが
  • 初秋(しょしゅう)の候=秋の気配を感じる頃となりましたが
<例文>
「処暑のみぎり、貴店ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。」
 

8月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「ビジネス」編

結びの挨拶は、相手や趣旨によって変わります。ビジネスなどのフォーマルな文書でよく使われる、今後ともよろしくとお願いする結びの挨拶、相手の繁栄や健康を祈る結びの挨拶、8月ならではの結びの挨拶、コロナ関連の結びの挨拶を例文で紹介します。
             
■今後ともよろしくとお願いする結びの挨拶
  • 「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
  • 「引き続きご高配を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
  • 「今後におきましても相変わらぬご厚誼(こうぎ)を賜りますよう お願い申し上げます。」
  • 「これからも変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
■相手の繁栄や健康を祈る結びの挨拶
  • 「貴社のますますのご発展を心より祈念しております。」
  • 「末筆ながら、一層のご隆盛を衷心よりお祈り申し上げます。」
  • 「皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
  • 「皆々様のご多祥を心よりお祈り申し上げます。」
■8月ならではの結びの挨拶  
  • 「山の緑も色濃くなりました。貴社ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。」
  • 「今年の暑さは格別でございますので、ご自愛専一にてお願い申し上げます。」
  • 「残暑厳しい折柄、体調を崩されませんようご留意ください。」
  • 「残炎のみぎり、健康には十分にご留意なされ、さらにご活躍されますことを祈念申し上げます。」 
■コロナ関連の結びの挨拶
  • 「残暑のみならずコロナ禍中で落ち着かない日々が続いております。くれぐれもご自愛くださいますようお願い申し上げます。」
  • 「何かと先を見通しづらい状況が続いております。時節柄、くれぐれもお体にご留意なされ、さらにご活躍されますことを祈念申し上げます。」
 

8月の季節の挨拶/口語調の時候の挨拶「プライベート」編    

ことばの響きも美しい「蝉しぐれ」は8月に使いやすい

ことばの響きも美しい「蝉しぐれ」は8月に使いやすい

プライベートの場合、書き出しの時候の挨拶は、口語調のカジュアルな表現が好まれます。
 
■上記「ビジネス」編で紹介した漢語調の「○○の候」の意味を表す文は、口語調の時候の挨拶として使えます。 
  • 暦の上では夏も終盤を迎えましたが
  • 厳しい暑さの頃ですが
  • 暦の上では秋となりましたが
  • 残暑の厳しい頃ですが
  • 朝晩涼しくなり過ごしやすい頃となりましたが
  • 秋の気配を感じる頃となりましたが
■その他にも、この時期の情景を綴って挨拶することができます。
8月向きの時候の挨拶に、相手の安否や健康を気遣う言葉を加えた例文をいくつか紹介します。
  • 「蝉しぐれの降りそそぐ頃ですが、ご機嫌いかがでしょうか。」
  • 「うだるような暑さが続いておりますが、皆さまお障りなくお過ごしでしょうか。」
  • 「日差しが照りつける中、向日葵が空を仰いでいます。お元気ですか。」
  • 「立秋とは名のみの厳しい残暑が続いております。お元気でいらっしゃいますか。」
  • 「残暑がいっそう身にこたえる日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。」
  • 「青空に入道雲の湧きあがる季節となりました。お元気でご活躍のことと存じます。」
  • 「行く夏を惜しむように、ひぐらしの声が聞かれる頃となりました。その後お変わりございませんでしょうか。」
  • 「赤とんぼに季節の移り変わりを感じる頃となりました。ご壮健にてお過ごしのことと存じます。」
  • 「強い日差しの合間にも、いくぶん秋の気配が感じられるようになってまいりました。お元気でお過ごしでしょうか。」
  • 「黄昏時の風の涼しさに、秋の足音を感じる今日この頃。お変わりなくお過ごしでしょうか。」
  • 「虫の音に秋の気配を感じる頃となりました。皆さまお健やかにお過ごしのことと存じます。」
 

8月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「プライベート」編

話題にしやすい夏休み。相手に合わせて内容を考えてみるといい

話題にしやすい夏休み。相手に合わせて内容を考えてみるといい

プライベートで用いる結びの挨拶も、カジュアルな表現が好まれます。相手に合わせて挨拶の内容を考えてみると良いでしょう。相手の趣味や嗜好に合わせた結びの挨拶、相手の体調を気遣う結びの挨拶、コロナ関連の結びの挨拶の例文を紹介します。参考にしてみてください。
 
■相手の趣味・嗜好・状況に合わせたの結びの挨拶     
  • 「夏休みでリフレッシュされたかと存じます。お身体に気をつけて、ますますご活躍ください。」
  • 「キャンプ先でみる星はさぞ美しいことでしょう。夏休みを心行くまで楽しんでください。」
  • 「避暑地暮らしとは羨ましいです。大いに英気を養ってご活躍ください。」
■相手の体調を気遣う結びの挨拶     
  • 「残暑厳しき折、くれぐれも無理をなさらずご用心ください。」
  • 「蒸し暑く、寝苦しい夜が続いております。くれぐれもお身体には気をつけてください。」
  • 「熱帯夜が続いておりますので、夏負けなどなさいませんように。」
  • 「当分厳しい残暑が続きそうです。おからだを大切になさってくださいませ。」
  • 「暑さも今が峠です。どうぞお身体を大切にお過ごしください。」
  • 「夏の疲れが出ませんよう、御身おいといください。」
  • 「厳しい残暑ももう一息かと存じますので、体調を崩されませんように。」
  • 「朝晩は冷え込むようになりました。寝冷えしないよう気をつけてくださいね。」
  • 「時節柄、体調を崩しませんよう気をつけてくださいませ。」
■コロナ関連の結びの挨拶
  • 「時節柄、思うようにお目にかかることができませんが、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
  • 「暑さとともにコロナ禍中で落ち着かない日々が続いております。くれぐれもご自愛くださいませ。」
  • 「炎暑の中コロナ禍もございますので、くれぐれもお身体にはご留意ください。」
  • 「何かと先を見通しづらい状況が続いております。くれぐれもお身体に気をつけてご活躍ください。」
  • 「時節柄、なかなか思うように会えませんが、オンラインでのおしゃべりも大歓迎です。お互い元気で頑張りましょう。」
  • 「テレワークで運動不足にならないよう、お互いに気をつけましょう。」
  • 「コロナが落ち着きましたら、ぜひ遊びにいらしてください。」
 

8月に使える季節の話題

8月に使える花火、お盆、浴衣などの話題

8月に使える花火、お盆、浴衣などの話題

8月ならではの季節の話題を紹介します。キーワードとして入れてみると、季節感が出ると思います。
 
■花や動植物・食べ物
向日葵、鳳仙花、芙蓉、百日草、むくげ、サルビア、鶏頭、蝉、ツクツクボウシ、ヒグラシ、赤とんぼ、鈴虫、コオロギ、西瓜、とうもろこし

■風物詩や行事・イベント
蝉時雨、山の日、夏祭り、花火、浴衣、夏休み、宿題、お盆、迎え火、盆踊り、送り火、お盆休み、原爆の日、終戦記念日、風鈴、蚊遣り、虫の音

■節気・時期
八朔、立秋、入道雲、夕立、 処暑
 
8月行事・歳時記|立秋・山の日・お盆…風物詩や行事まとめ
 

オリジナルの挨拶を入れることも考えてみましょう

身近なものごとから考えてみると書きやすい

身近なものごとから考えてみると書きやすい

相手の顔を思い浮かべながら考えていると、よりパーソナルで身近な文が綴れます。下手でもいいので、素直に、自分の言葉で考えてみると、心に届く手紙になるでしょう。
  • 「お元気ですか?昨年もらったひまわりの種をまいてみたら、見事に開花しました!」
  • 「また浴衣でお出かけしたいですね。着付けが上達するよう練習しておきます。」
  • 「ふたりとも夏休みの宿題に四苦八苦していたことを思い出します。もう大人なんだから、何事もちゃんとしないといけませんね。」
  • 「もうじきお盆ですね。ご実家の皆様によろしくお伝えください。」
  • 「今年は家庭菜園でスイカを収穫予定。愉しみにしていてくださいね。」     
手紙の書き方 ~心に届く時候・時節の挨拶


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