暮らしの歳時記/夏の行事・楽しみ方(6~8月)

【時候の挨拶】7月上旬・中旬・下旬の季節の挨拶と結び文、ビジネスやカジュアルに対応

7月の季節の挨拶「時候の挨拶」には何を書けばいいの? 書き出しの時候の挨拶文には、ビジネスや学校関係で出す文書・お礼状・目上の方向けの「漢語調」、プライベートの親しい友人・知人向けのカジュアルな「口語調」があります。いつ使うのかがわかるよう上旬・中旬・下旬に分け、例文や結びの文、コロナや健康に関する挨拶文、季節の話題を紹介。コロナ禍、教育実習のお礼状、園やクラスだより、小中学生向けのよくある質問も

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

季節の挨拶に何を書く? 7月上旬・中旬・下旬の時候の挨拶と結び文

時候の挨拶とは「拝啓」などに続く書き出しの言葉で、季節感をあらわす

時候の挨拶とは「拝啓」などに続く書き出しの言葉で、季節感をあらわす

7月の季節の挨拶「時候の挨拶」に何を書けばいいのでしょう? 時候の挨拶とは「拝啓」などの頭語に続く書き出しの言葉で、季節感を表します。

時候の挨拶には、ビジネス文書や学校関係で出す文書、お礼状・目上の方向けの「漢語調」と、プライベートの親しい友人・知人向けのカジュアルな「口語調」があります。いつ使うのかがわかるよう、7月の上旬・中旬・下旬に分け、例文や結びの文、コロナや健康に関する挨拶文、7月に使える季節の話題もご紹介します。
 
<INDEX>  ・7月全般で使える
 ・7月上旬
   ・7月中旬
 ・7月下旬 よくある質問
 Q.コロナ禍における7月の時候の挨拶の文例は?
 Q.教育実習のお礼状におすすめの挨拶は?
 Q.園だよりやクラスだよりで使える挨拶は?
 Q.小学生や中学生におすすめの挨拶はありますか?

 

手紙・書類・メール・お礼状で使う、挨拶文の書き方や構成

ビジネスや学校関係で出す文書・お礼状、プライベートな手紙などを書く場合、【前文】⇒【主文】⇒【末文】⇒【後付】で構成するのが基本です。基本をもとに、必要に応じて細かい要素を変えながら仕上げていきましょう。
 
<構成>
【前文】……「拝啓」などの頭語 ⇒ 時候の挨拶 ⇒ 相手の安否や健康を気遣うことば ⇒ 自分の近況やお礼など
【主文】……いわゆる本文
【末文】……結びの挨拶。相手の健康や繁栄を祈ることば ⇒「敬具」などの結語
【後付】……日付 ⇒ 署名 ⇒ 宛名

 

「漢語調」「口語調」……時候の挨拶文は相手・場面に応じて選びたい

時候の挨拶には、短く簡潔に表した「漢語調」と話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」がある

時候の挨拶には、短く簡潔に表した「漢語調」と話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」がある

時候の挨拶は、その時々の季節感を表した言葉。「盛夏の候­」のように短く簡潔に表した「漢語調」と、「夏の盛りとなりました」のように話し言葉でやわらかな言いまわしの「口語調」があります。
 
漢語調と口語調は、相手や場面に応じて使い分けます。一般的に、ビジネス文書や学校関係の文書などでは、かしこまった漢語調の表現が使われることが多く、文書の格を高めてくれます。一方、パーソナルな文書では、より身近な口語調を使う方が多いです。また、ビジネスであっても、口語調を用いてやわらかにする場合もあります。
 
いずれにしても、ネガティブではなくポジティブなものがおすすめです。 
 

7月の季節の挨拶/漢語調の時候の挨拶「ビジネス」編

夏の盛りを表す「盛夏の候」。「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできる

夏の盛りを表す「盛夏の候」。「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできる

ビジネスシーンでは、かしこまった漢語調の時候の挨拶を使うのが一般的。目上の方への手紙やメールでも使える漢語調の時候の挨拶について、意味とともに例文を交えてご紹介します。時候の挨拶は季節感が大切なため、目安となる時期ごとに紹介しますが、その年によって多少ずれることがあるため、実際の季節感を優先しながら選んでみてください。
 
また「○○の候」は「○○の折」「○○のみぎり」に置き換えて使うこともできます。
  
7月全般で使える「盛夏の候」
  • 盛夏(せいか)の候=夏の盛りとなりましたが ※梅雨の間はそぐわないので、梅雨明け後が適切です。
<例文>
「盛夏のみぎり、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申しげます。」 

7月上旬の「長雨の候」「七夕の候」「星祭の候」「小夏の候」
  • 長雨(ながあめ)の候=梅雨が続いておりますが  ※梅雨明け前に使います。
  • 七夕(たなばた)の候=七夕の時期となりましたが  ※7月7日まで使えます。
  • 星祭(ほしまつり)の候=七夕の時期となりましたが  ※7月7日まで使えます。
  • 小夏(こなつ)の候=本格的な夏を前に暑い時期となりましたが
<例文>
「星祭の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます。」


7月中旬の「小暑の候」「梅雨明けの候」
  • 小暑(しょうしょ)の候=暑さが強まる時期となりましたが ※「小暑」は二十四節気のひとつで、7月7日頃~7月22日頃。
  • 梅雨明けの候=梅雨が明ける頃となりましたが 
<例文>
「小暑の折、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」


7月下旬~8月初めの「大暑の候」「甚暑の候」「炎暑の候」など
  • 大暑(たいしょ)の候=1年で最も暑い頃となりましたが  ※「大暑」は二十四節気のひとつで、7月23日頃~8月6日頃。
  • 極暑(きょくしょ)の候=暑さ極まる頃となりましたが
  • 甚暑(じんしょ)の候=甚だしく暑い時期ですが
  • 猛暑(もうしょ)の候=猛烈に暑い時期ですが 
  • 烈暑(れっしょ)の候=猛烈に暑い時期ですが 
  • 酷暑(こくしょ)の候=厳しい暑さの頃ですが
  • 厳暑(げんしょ)の候=厳しい暑さの頃ですが
  • 炎暑(えんしょ)の候=燃えるように暑い時期ですが
  • 炎熱(えんねつ)の候=燃えるように暑い時期ですが
  • 炎夏(えんか)の候=燃えるように暑い時期ですが
  • 灼熱(しゃくねつ)の候=焼けつくように暑い時期ですが
<例文>
「大暑のみぎり、貴店ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。」

 

7月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「ビジネス」編

結びの挨拶は、相手や趣旨によって変わります。ビジネスなどのフォーマルな文書でよく使われる、今後ともよろしくとお願いする結びの挨拶、相手の繁栄や健康を祈る結びの挨拶、7月ならではの結びの挨拶、コロナ関連の結びの挨拶を例文で紹介します。
             
■今後ともよろしくとお願いする結びの挨拶
  • 「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」
  • 「引き続きご高配を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
  • 「今後におきましても相変わらぬご厚誼(こうぎ)を賜りますよう お願い申し上げます。」
  • 「これからも変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」

■相手の繁栄や健康を祈る結びの挨拶
  • 「貴社のますますのご発展を心より祈念しております。」
  • 「末筆ながら、一層のご隆盛を衷心よりお祈り申し上げます。」
  • 「皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
  • 「皆々様のご多祥を心よりお祈り申し上げます。」

■7月ならではの結びの挨拶  
  • 「梅雨明け後には厳しい暑さとなりますので、健康には十分にご留意なされ、さらにご活躍されますことを祈念申し上げます。」
  • 「山滴るこの時季、貴社ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。」
  • 「暑さ厳しい折柄、ご自愛専一にてお願い申し上げます。」
  • 「猛暑のみぎり、体調を崩されませんようご留意ください。」

■コロナ関連の結びの挨拶
  • 「暑さのみならずコロナ禍中で落ち着かない日々が続いております。くれぐれもご自愛くださいますようお願い申し上げます。」
  • 「何かと先を見通しづらい状況が続いております。時節柄、くれぐれもお体にご留意なされ、さらにご活躍されますことを祈念申し上げます。」
 

7月の季節の挨拶/口語調の時候の挨拶「プライベート」編    

「七夕の時期となりましたが」は、話し言葉でやわらかな口語調の時候の挨拶

「七夕の時期となりましたが」は、話し言葉でやわらかな口語調の時候の挨拶

プライベートの場合、書き出しの時候の挨拶は、口語調のカジュアルな表現が好まれます。
 
■上記「ビジネス」編で紹介した漢語調の「○○の候」の意味を表す文は、口語調の時候の挨拶として使えます。 
  • 梅雨が続いておりますが
  • 夏の盛りとなりましたが
  • 七夕の時期となりましたが
  • 梅雨が明ける頃となりましたが
  • 暑さ極まる頃となりましたが
  • 厳しい暑さの頃ですが
  • 燃えるように暑い時期ですが
  • 焼けつくように暑い時期ですが

■その他にも、この時期の情景を綴って挨拶することができます。
梅雨明け、青空、日差し、木陰……この時期の情景を綴ってみる

梅雨明け、青空、日差し、木陰……この時期の情景を綴ってみる

7月向きの時候の挨拶に、相手の安否や健康を気遣う言葉を加えた例文を幾つか紹介します。
  • 「色とりどりの七夕飾りを目にする頃となりました。お元気でご活躍のことと存じます。」
  • 「梅雨明けが待ち遠しいこの頃ですが、その後お変わりございませんか。」
  • 「長かった梅雨がようやく明けようとしています。お元気ですか。」
  • 「梅雨明けの暑さがひとしおに感じるころとなりました。皆さまお健やかにお過ごしでしょうか。」
  • 「小暑を迎え日増しに暑くなってまいりましたが、ご機嫌いかがでしょうか。」
  • 「空の青がひときわ眩しい季節となりました。皆さまお障りなくお過ごしのことと存じます。」
  • 「向日葵が日毎に背を伸ばすこの頃、お元気でいらっしゃいますか。」
  • 「夏の日盛りに木陰の恋しい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。」
  • 「朝顔を数えるのが楽しみな時季となりました。皆さまお変わりございませんでしょうか。」
  • 「蝉時雨が賑やかに降り注ぐ時季となりました。ご壮健にてお過ごしのことと存じます。」
  •  「土用に入り暑い盛りとなりましたが、皆さまお健やかにお過ごしでしょうか。」 ※夏の「土用」は立秋前の18日間をいい、7月20日頃~8月6日頃。
 

7月の季節の挨拶/口語調の結びの挨拶「プライベート」編

この夏どう過ごすのかな……相手を思い浮かべながらことばを綴りたい

この夏どう過ごすのかな……相手を思い浮かべながらことばを綴りたい

プライベートで用いる結びの挨拶も、カジュアルな表現が好まれます。相手に合わせて挨拶の内容を考えてみるとよいでしょう。相手の趣味や嗜好に合わせた結びの挨拶、相手の体調を気遣う結びの挨拶、コロナ関連の結びの挨拶の例文を紹介します。参考にしてみてください。
 
■相手の趣味・嗜好・状況に合わせたの結びの挨拶     
  • 「夏が大好きだと言っていましたね。ますますのご活躍を期待しています。」
  • 「避暑地の日々はいかがですか。大いに英気を養ってご活躍ください。」
  • 「盛夏のみぎり、どうぞ楽しい夏休みをお過ごしください。」

■相手の体調を気遣う結びの挨拶     
  • 「梅雨が明け、これからが暑さの本番です。くれぐれもご自愛くださいませ。」
  • 「夏風邪などお召しになられませんよう、どうかご用心くださいませ。」
  • 「夏ばてなどなさいませんよう、くれぐれもお身体にはご留意ください。」
  • 「暑さ厳しき折柄、体調を崩しませんよう御身おいといください。」
  • 「猛暑の折、皆様方の息災を心よりお祈り申し上げます。」

■コロナ関連の結びの挨拶
  • 「時節柄、思うようにお目にかかることができませんが、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
  • 「暑さとともにコロナ禍中で落ち着かない日々が続いております。くれぐれもご自愛くださいませ。」
  • 「炎暑の中コロナ禍もございますので、くれぐれもお身体にはご留意ください。」
  • 「何かと先を見通しづらい状況が続いております。くれぐれもお身体に気をつけてご活躍ください。」
  • 「時節柄、なかなか思うように会えませんが、オンラインでのおしゃべりも大歓迎です。お互い元気で頑張りましょう。」
  • 「テレワークで運動不足にならないよう、お互いに気をつけましょう。」
  • 「コロナが落ち着きましたら、ぜひ遊びにいらしてください。」
 

7月に使える季節の話題

7月ならではの季節の話題を紹介します。キーワードとして入れてみると、季節感が出ると思います。
 
■花や動植物・食べ物
朝顔、半夏生、白粉花、ねむの木、さるすべり、向日葵、睡蓮、サルビア、スイカ、ゴーヤ、冬瓜、枝豆、鰻、土用餅、土用しじみ

■風物詩や行事・イベント
夏祭り、花火、海開き、山開き、七夕、朝顔市、ほおずき市、お盆、海の日、土用の丑の日、夏休み、風鈴、打ち水、夕涼み、蚊遣り

■節気・時期
小暑、大暑、夏の土用、土用の丑の日、梅雨明け、戻り梅雨

 【7月行事・歳時記】七夕・海の日・土用の丑… 風物詩や行事食まとめ

 

 オリジナルの挨拶を入れることも考えてみましょう

一緒にひまわり畑に行きたいな……相手の顔を思い浮かべてみると文章が浮かびます

一緒にひまわり畑に行きたいな……相手の顔を思い浮かべてみると文章が浮かびます

相手の顔を思い浮かべながら考えていると、よりパーソナルで身近な文が綴れます。下手でもいいので、素直に、自分の言葉で考えてみると、心に届く手紙になるでしょう。
  • 「お元気ですか? お庭のねむの木が見事に咲いている頃ですね。」
  • 「今年は短冊に何をお願いしたのでしょう? 願いが叶うといいですね。」
  • 「夏休みは決まりましたか? 真剣な眼差しで予定を組んでいる姿が目に浮かびます。どうぞ楽しい夏をお過ごしください。」
  • 「今年こそひまわり畑で写真を撮りたいですね。映える帽子を用意して、楽しみにしています。」
  • 「この時期になると、一緒に出かけた夏祭りを思い出します。また会える日を楽しみにしています。」
手紙の書き方 ~心に届く時候・時節の挨拶

 

よくある質問 
Q.コロナ禍における7月の時候の挨拶の文例を教えてください。

A.時候の挨拶でコロナ禍にふれたい場合、口語調の挨拶にコロナのことを続けるとよいでしょう。
<例文>
「蝉時雨が賑やかに降り注ぐ時季となりました。コロナ禍で思うようにお目にかかれませんが、お元気でいらっしゃいますか。」
「厳暑の中、コロナ禍で落ち着かない日々が続いておりますが、皆さまお健やかにお過ごしでしょうか。」
 

Q.教育実習のお礼状におすすめの7月時候の挨拶は?

A.校長や指導教員宛なら、漢語調の「長雨の候」「盛夏の候」「極暑の候」「厳暑の候」やそれらの口語調、いかにも漢語調の「甚暑の候」「炎暑の候」「炎夏の候」などがおすすめです。児童生徒宛なら、わかりやすい口語調で季節の挨拶をするとよいでしょう。
 

Q.園だよりやクラスだよりで使える7月時候の挨拶は?

A.園だよりやクラスだよりでは、親しみやすい口語調を用いるところが多いようです。梅雨明け、七夕、蝉の声、朝顔、プール、夏休みなどが身近なキーワードになります。口語調の時候の挨拶に、園やクラスの様子、7月の心がけを盛り込むとさらによいでしょう。
 

Q.小学生や中学生におすすめの7月の時候の挨拶はありますか?

A.難しいことばを使う必要はありません。親しみやすい口語調で、身近に感じた季節感を表してみてください。
<例文>
「お元気ですか? 育てている朝顔がもうじき咲きそうで、毎朝わくわくしています。」
「期末試験が終わり、夏休みが近づいてきました。みなさんお元気ですか?」


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