年金/公的年金制度の仕組み

年金制度は今後どうなっていくの?

年金制度は様々な改正を経て現在の形となっています。これからも社会や経済の変化に対応して、どんどんその形を変えていくことでしょう。ここでは、現在わかっている年金制度の変化について見ていきたいと思います。

綱川 揚佐

執筆者:綱川 揚佐

年金ガイド

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現在わかっている年金制度の改正は?

現時点で法律で決まっている年金制度改正は、次の通りです。  
  • 国民年金保険料の産前産後期間の免除(2019年4月)
  • 年金生活者支援給付金の支給(2019年10月)
  • 国民年金第3号被保険者への原則国内居住要件の追加(2020年4月)
それぞれ内容を見ていきましょう。
 
今後の年金制度はどうなる?

今後の年金制度はどうなる?

 

2019年4月~国民年金保険料の産前産後期間の免除

これまで、産前産後休業期間や育児休業期間の厚生年金保険料の免除制度はありましたが、国民年金に加入する自営業の人などにはそのような仕組みがありませんでした。それが今年4月から免除の制度が導入されました。

原則として出産前月分から4カ月分の保険料が免除され、年金を受給する際は納付したものとして取り扱ってもらえます。国民年金に加入していて出産を控えている人には朗報といえますね。
 

2019年10月~年金生活者支援給付金の支給

年金生活者の中でも、所得が低い人を対象に、年金生活者支援給付金が支給されます。今年10月には消費税が引き上げられ、それに合わせて支給されることになりました。

この給付金は1回限りのものではなく、条件を満たしている限り年金と一緒に毎回受け取ることができるもので、該当すれば大きな恩恵にあずかれますね。老齢、障害、遺族それぞれの基礎年金を受けている人が対象で、例えば老齢年金生活者支援給付金は以下のような条件を満たせば支給を受けることができます。
  • 65歳以上で老齢基礎年金を受けていること
  • 世帯全員が住民税非課税となっていること
  • 前年の年金収入と前年の年金以外の所得の合計が87万9,300円以下であること
厚生労働省によると、給付金の対象者は合計で約970万人とのことです。注意したいのは、条件に該当した場合に手続きしないともらえないということです。手続きが遅れるとそれだけ損をするので、手続きはくれぐれもお早めに。なお、2019年4月から、年金事務所で手続きの受付が始まっているほか、同年9月からは該当する人にはハガキ形式の請求書も郵送されています。
 

2020年4月~国民年金第3号被保険者への原則国内居住要件の追加

国民年金第3号被保険者(被扶養配偶者)には、原則として日本国内に居住する配偶者でないとなれなくなります。外国に住んでいる配偶者は、原則として扶養に入れなくなるということですね。これは外国人材の受け入れに伴う措置ということで、2020年4月から改正となります。
 

今後の制度改正の見込みは?

ある程度具体化している改正としては私が知る限りこういったところです。
 
報道発表では、
  • 70歳以降への繰下げを可能にする
  • 70歳以降も厚生年金に加入するようにする
  • 在職老齢年金の見直し
といったことが検討されている、といわれています。また、2016年10月からパート勤務者が厚生年金に加入する条件が改正され、パートでも厚生年金加入となる対象が拡大しましたが、2019年9月までにさらなる検討を加える、とされているので、こちらも改正が見込まれます。
 
今年は5年に1度の財政検証が行われました。財政検証の結果はおおむね前回と同じで、経済の動向次第ではこの先年金財政はさらに厳しくなることが予想されています。財政検証のオプション試算でも上に挙げたような制度改正を行った場合の試算がなされていましたので、今後検討が進んでいくものと思われます。ただ、現状では具体的な形が見えているわけではないので、これからの議論の結果が注目されます。

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