食育/安全・安心な食品の選び方

子供に食べさせているその食品の安全性は大丈夫?(2ページ目)

食への安心安全意識が高まっている今、子どもに「流行っているから手軽だから」と、食べさせている物はありませんか?何気なく与えている食べ物の中には、肥満や健康を害する原因と考えられるものも少なくありません。そこで、私たちの身近にある食品の中から、特に気を付けたい6つの食品「清涼飲料水、マーガリン、ハム・ソーセージ、ファストフード、養殖魚、スムージー」の安全性について考えます

浜田 峰子

執筆者:浜田 峰子

食育ガイド


ハム・ソーセージ・加工肉は摂取量に注意

ハム・ソーセージの安全性は?

ハム・ソーセージの安全性は?

2015年にWHOの組織が、「加工肉及びレッドミートを毎日50g食べると大腸がんになるリスクが18%増えると」し、日本でも大きなニュースになりました。あれから1年以上が過ぎ、直後は買うのを控えていたけれど、今では子供のお弁当や毎日のおかずに使っている人も多いのではないでしょうか?

報道のあと、私のところへもたくさんの質問がありました。まず最初の注意点は量と頻度にあると考えます。※3)農林水産省は日本人の摂取量は欧米にくらべてとても低いため(平均1日13g)問題になるほどではないと発表しました。次に質です。添加物をたくさん使って作られた安価な物のほうがリスクは高まります。

ここで注意したいのは、子供の場合は親が与える量によって摂取量に大きな差がでる事です。お弁当や食事のハム・ソーセージなど加工肉を、毎日食べている子とそうでない子では大きく違います。例えば、よくお弁当に入れるパリッとした触感の安価なソーセージは1本当たり平均15gです。

大人にとって安価で便利な加工肉ですが、子供の為にはあまり頼りすぎない事が大切です。 選ぶときには添加物の少ないものを選びましょう。

■ハム・ソーセージ・加工肉の注意点
重要なのは、子供の頃は味覚を育てる大切な時期だということ。本物の肉や魚を食べる量や頻度を増やし加工品を減らしていくことで、食材そのものを味わう味覚が成長していきます。また、添加物の少ないものを選ぶことで健康を損なうリスクも減ります。

養殖魚は生育・製造過程情報に気を付けて!

スーパーなどの店頭では食品表示を見て養殖魚か天然魚かを知ることができますが、現在の食品表示法では、刺身盛り合わせなどのお総菜や外食メニューについては「どんな魚が使われているか?」という情報を表示する義務はありません。「〇〇産のサーモンです。」と言われても、それが養殖か天然かは分かりません。

養殖魚の安全性についての質問が多く、様々な論文を調べ※4)子育て世代の多くが利用する宅配食品の水産品の担当へ話を聞くなどしました。そこから、食べさせている餌、抗生剤の投薬の状況、染色体操作の人体への影響など、生育や製造過程のトレーサビリティー情報が少なく、そこに消費者が不安を感じているという事が分かりました。

養殖魚に与える餌には輸入の魚粉が多く使用されていますが、海外でどういう魚を加工した魚粉なのかという情報が不足しています。

養殖で使用する水産用医薬品には、予防のためのワクチン、ビタミン剤、消毒薬、治療のための抗生物質、合成抗菌剤、駆虫剤があり、使用できる薬品は魚種によって決められ、用法、用量、休薬期間が定められていますが、ゼロではありません。

また脂のりを良くしたり身を太らせるために、餌の配合を調整するだけでなく、染色体操作をして不妊化をする方法が取られている魚種もあるのですが、それによって人が食べ続けるとどういう影響があるのかという情報も不足しています。

最近は、養殖の生育履歴をHPで公開しているところもありますから、情報をしっかりと調べて納得できるものを子供に食べさせるようにしたいですね。

■養殖魚の注意点
食育基本法の3本柱の一つに「選食力」があります。食について正しい知識を身に着け安心で安全な食品を選び取る力をつけるという意味です。子供に食べさせる食品のトレーサビリティーの情報はしっかりと理解して納得できるものを食べさせるようにしましょう。


噛まずに飲めるスムージーは、一見ヘルシーだけど注意

スムージーは葉野菜やフルーツを使うので一見健康によさそうにも思えますが、野菜摂取をそれだけに頼るのは考え物です。

旬のものではない葉野菜やバナナやパイナップルといった南国のフルーツは、薬膳的には体を内側から冷やしまう食材です。

さらに、流し込むだけでまったく噛まない物ばかり口にし続けていると、人間は「噛まなくてもよい」と認識してしまい、食べ物を噛まずに飲み込む食事スタイルが身についてしまいます。

よく噛んで食べることは、子供の脳や味覚を発達させたり、むし歯の予防につながります。よく噛むことによって、脳の中にある人間の意欲や感情や集中力、論理性や計画性を司る器官が刺激されるので、「噛む」ことは、子供の成長にとってとても重要です。
(詳しくは『よく噛んで食べる子ほど勉強やスポーツが上達する理由』の記事を参照ください)

■スムージーの注意点
子供の健やかな成長と発達を第一に考え、「噛まないスムージー」という形ではなく、旬の野菜や季節のフルーツをよく噛んで食べさせることが大切です。



子供に食べさせている身近な食品について、安全性を考えるきっかけとなったでしょうか?子供の心身を元気に育てるためには、流行やあふれかえる情報にまどわされず、しっかりと食品表示を確認して安心安全な食品を選ぶことや、バランスのよい食事と心地よい食卓が大切です。

食品表示について詳しく知りたいと言う方は、こちらの3つの記事にも分かりやすくまとめていますのでぜひ参考になさって下さい。
・「親として知っておきたい!食品表示の基本
・「親としてよく考えたい!食品添加物の基本
・「親として学びたい!食物アレルギーの食品表示

【参照URL】
※1)農林水産省 消費・安全局食品安全政策課 「すぐにわかるトランス脂肪酸」
※2) McDonald The ingredients facts list on the McDonald's website.
※3)農林水産省 消費・安全局食品安全政策課 「国際がん研究機関(IARC)による加工肉及びレッドミートの発がん性分類評価について」
※4)独立行政法人 水産総合研究センター 「水産育種研究戦略」
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