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サブスクリプション(定期販売)型ソフトウェアの功罪(4ページ目)

PC・スマホなどジャンルを問わず、「サブスクリプション型」とされるソフトの販売形態が広がってきた。これまでソフトウェアは、パッケージを買い切って利用することが多かったが、定期的に利用料を払い、最新のものを使い続けることができる仕組みが一般化しつつあるのだ。今回はこのサブスクリプション型ソフトを利用する際の注意点について、解説する。

大島 克彦

執筆者:大島 克彦

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どのようなメリットがあるのか(開発側)

サブスクリプション型で販売するのには、そのソフトと開発元が一定の実績と評価を得ていることが前提だ。また、経営が安定していない開発企業のサブスクリプション型販売は、ユーザーに信用されない。聞いたこともない開発会社、機能不明なソフトに、年間契約でおカネを払おうというユーザーはいないからだ。

・コスト低下
パッケージのコストなどがなくなるため、全体に販売コストを安くできる。浮いた資金で、ソフトの価格を下げてもよいし、開発費を増やすこともできる。

・安定的な収益基盤
サブスクリプション型でのソフト販売は、毎月、開発者にある程度決まった収益をもたらすため、収益基盤を安定させる。従来は、パッケージの売り上げが急変するケース、たとえば、バージョンアップ後の評価が低く、売上が予想を大きく下回るような場合だ。だが、サブスクリプション型なら、新バージョンの評価が低くても、急に利用者が減ることはない。

・サポートの簡易化
また、サブスクリプション型では、ユーザーは比較的最新バージョンを使う傾向が増える。開発者にとっては、複数バージョンが併存する場合に比べ、サポート体制がとりやすい。

ATOK Passport

ATOK Passportのページ



どのようなメリットがあるのか(利用側)

・ヘビーユーザーほど「割安」
サブスクリプション型は、導入時に大きな費用がかからないのもメリットだ。また、そのソフトが不要になれば契約を解除すればよいため、それ以上の費用はかからない。そのソフトが本当に自分に合うか分からないため、試しに使ってみたいといったケース、あるいは最初から必要な期間が分かっているようなケースにも便利な方式だ。サブスクリプション型は体験版とは異なり、全機能を使えるし、あらかじめ期限が決まっていないので、このあたりは自由度が高い。

企業にとっては、会計的上、ソフトウェアを資産にすることなく経費として処理できるのは便利である。前述したように、Adobe製品は新規で15万円以上、Microsoft製品もエディションによっては5万円以上のものがあり、資産計上しなければならない。サブスクリプション型なら、全額経費に算入することができる。

反面、数カ月に一度しか使わないようなソフトの場合、コストパフォーマンスがきわめて悪くなる。契約更新の際に、値上げなどがあり得るという不安もあるだろう。

・アップデートが簡単になる
ソフトのアップデートは、ネット経由で最新版をダウンロードする。通常、更新用のソフトが付属しており(Adobe製品ではCreativeCloudという常駐ソフト)、アップデートは簡単だ。ほとんど場合、このソフトが更新ファイルの告知からインストールまでを一手に引き受けてくれる。


以上、サブスクリプション型ソフトが増えてきた背景について述べた。このような形態が増えてきたのは、主要には開発側の事情だが、その長所・短所を理解した上で、利用してほしい。当分、パッケージ型との併売が続くものが多いと思われ、自分に合った形態を選ぶのがよいだろう。

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