不動産売買の法律・制度/不動産売買ワンポイントアドバイス

借地権の対抗要件とは?

土地が借地権の住宅では、その権利を第三者に主張するために一定の対抗要件を備えることが必要です。とくに解体や火災などによる滅失のときに問題となりやすい対抗要件について、しっかりと理解しておかなければなりません。建て替えのときにおける特有の問題点も含めて考えてみましょう。(2017年改訂版、初出:2014年2月)

執筆者:平野 雅之

【不動産売買ワンポイントアドバイス No.033】

借地権の明示

建物がないときの借地権は、第三者に対して明示をすることが必要


法律関係などにもとづく権利を第三者に対して主張するためには、一定の要件が必要です。これを「対抗要件」といい、不動産でも問題となる場合があります。とくに土地の権利が借地権の住宅を購入しようとするときには、この対抗要件をよく理解しておかなければなりません。

不動産に関する対抗要件の原則は登記であり、所有権の土地であれば問題なく登記をすることができます。しかし、何らかの事情で登記をしなければ、その権利を第三者に対して主張できないことになるのです。

土地の権利が借地権のときには、それが地上権か賃借権かによって異なります。マンションの場合に多い地上権は登記をすることが可能であり、ほぼ例外なく登記による対抗要件を備えていることでしょう。

ところが、借地権の一戸建て住宅の大半を占める賃借権には登記請求権がなく、所有者(地主)が協力しないかぎり登記をすることができません。そのため、ほとんどの借地権の一戸建て住宅では、土地の権利が登記されていないのです。

借地権の対抗要件が備わっていなくても、契約当事者である地主に対して権利の主張ができることは当然ですが、地主がその土地を第三者に売却などしたときには新たな地主に対抗できず、建物を取り壊して明け渡さなければならないことになってしまいます。

そこで、借地権の対抗要件として借地借家法では次のものを定めています。

□ その借地上に建物が存在していること
□ その建物が借地人の名義で登記されていること

この2つを同時に満たすことが必要ですが、火災などで建物が滅失したとき、あるいは建て替えで建物を取り壊したときには建物が存在しないことになります。

このようなときは借地上の見やすい場所に、建物の内容や新たに建築する旨などを記載した立札を明示することで、第三者に対抗することができるものとされています。

ただし、その効力があるのは建物が滅失したときから2年間に限られますから、あまりのんびりと建築計画を進めることはできないのです。さらに、その掲示物が何者かによって知らないうちに引き抜かれれば、その時点で対抗要件を失うことになりかねません。

また、「借地人の名義で登記をすること」という要件については十分な注意が必要です。

たとえば、地主との間の借地契約が父親名義で、息子が住宅ローンを借りて建て替えようとするとき、息子名義で建物の登記をすれば対抗要件を失うことになります。そのため、金融機関から融資の承認がおりない場合もあるでしょう。

このとき、地主の承諾がないままで息子名義の住宅を建てれば、借地契約を解除されてしまうこともあります。一方で、地主の承諾を得て借地の契約名義を父親から息子に書き換えれば、今度は贈与税の問題を生じかねません。

借地権を相続した後に建て替えをするのであればあまり問題は生じないのですが、住宅ローンの借り入れができない高齢の親名義となっている借地上の住宅を建て替えるときには、資金計画や借地契約の取り扱い、借地権の対抗要件、贈与税など、さまざまな角度から用意周到に検討することが必要です。


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借地法・旧法と新法の違い
借地権割合って何のこと?どう使う?どう調べる?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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