【ガイドの不動産売買基礎講座 No.56】

借地権については、この講座のNO.44 ≪借地権ってどんなもの?≫ などでも触れましたが、その基本となっているのは「借地借家法」です。

しかし、この借地借家法が施行された1992年(平成4年)8月1日以前から存続する借地権に対しては、廃止された旧「借地法」が、引き続き適用されることになっています。実際に現在の既存住宅市場で流通している借地権物件も、その多くが旧法適用のものでしょう。

旧「借地法」(以下、旧法と表記します)と新「借地借家法」(以下、新法と表記します)ではどのような違いがあるのか、その主な相違点についてまとめてみました。なお、ここでの新法による借地権は、新しい規定である定期借地権ではなく、普通借地権を想定しています。


借地権の存続期間の違い

借地権の存続期間は、新法では建物の種別に関係なく一律に30年となります。当事者間でこれより長い期間を定めることは自由です。

一方、旧法の場合は少し複雑で、建物の種類により異なっています。堅固な建物とそうでない建物(非堅固建物:木造など)に分かれますが、堅固な建物の種類としては、石造・レンガ造・土造・コンクリート造・ブロック造などが規定されています。鉄筋コンクリート造はもちろん堅固な建物に該当します。

そして、旧法による最低存続期間は堅固建物で30年、非堅固建物で20年となり、これより短い期間を定めた場合には “期間の定めがないもの” とみなされます。

旧法による借地権で「期間の定めがない」ときには法定期間が適用され、堅固建物は60年、非堅固建物は30年となります。期間の定めがなければ無期限というわけではありません。


借地権を更新した後の存続期間

新法による契約の更新では、1回目が20年、2回目以降が10年となります。いずれの場合も当事者間でこれより長い期間を定めることは自由です。

これが旧法の場合には、堅固建物が30年、非堅固建物が20年となっています。


建物が朽廃した場合における借地権の取り扱い

旧法では、存続期間の定めがあるか、定めがない(法定期間が適用される)かによって、建物が朽廃した(老朽化で使用できないような状態になった)場合の取り扱いが異なります。

存続期間の定めがあるときには、建物が朽廃しても借地権は消滅しませんが、存続期間の定めがないときに建物が朽廃すると、その借地権自体が消滅してしまいます。

また、旧法の場合に、朽廃ではなく建物が滅失してしまったときには、第三者に対して借地権の効力を対抗できない(権利を主張できない)ものとされています。

新法ではこのあたりの事項が改められ、(当初の)契約期間満了前に建物が朽廃しても、残存期間中の権利は保護されることになりました。

また、新法ではたとえ建物が滅失しても一定の事項をその土地上の見やすい位置に掲示したうえで、滅失から2年以内に建物を再築して登記すれば、その間の権利を第三者に対抗することができます。

さらに、朽廃や火事によって建物が滅失した場合などにおける再築でも、旧法と新法で大きな違いがあります。

旧法のときには、残存期間を超えて存続する建物を建てる場合、それに対して地主が遅滞なく異議を述べないかぎり、建物がなくなった日から堅固建物で30年、非堅固建物で20年、借地期間が延長され、地主は原則として契約解除をすることができません。

ところが、新法のもとで再築する場合には、これが1回目の更新以降でかつ地主の承諾を得ていなければ、地主は借地契約を解除できることになっています。地主の承諾がない場合は「地主からの解約申し入れ」だけで借地権が消滅してしまいますから、注意しなければなりません。

また、新法における再築が当初の契約期間内の場合には、地主の承諾があれば20年の期間延長となりますが、承諾がなければ残存期間内での保護にとどまります。


地主が更新を拒絶する場合

旧法において、地主が借地契約の更新を拒絶する場合には「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合、その他の正当な事由がなければならない」とされていましたが、この正当事由の解釈をめぐって争いが絶えませんでした。

そこで、新法ではこの「正当事由」をある程度まで明確にするとともに、財産上の給付(立ち退き料の支払い)だけでも更新を拒絶できるものとされました。

なお、旧法と新法のどちらの場合でも、契約の更新にあたっては「借地上に建物のあること」がその要件とされています。


関連記事

不動産売買お役立ち記事 INDEX
ガイドの不動産売買基礎講座 INDEX

土地の権利の種類
借地権ってどんなもの?
借地権の対抗要件