『アメリカン・ハッスル』と詐欺師映画3選(4ページ目)

堺雅人が結婚詐欺師をつけ鼻で怪演！

『クヒオ大佐』（2009年度作品）

カメハメハ大王の末裔のアメリカ人パイロットであり、名前はジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐だと言い張る結婚詐欺師クヒオ大佐（堺雅人）。つけ鼻とカタコト日本語とパイロットファッションが超インチキ臭いのですが、数々の女性を騙し、お金を巻き上げていくのです。これ実話だから本当に驚きです。

この結婚詐欺事件が報道されたとき「なんでこんなインチキ臭いのに騙されるのか」と呆れたけれど、映画『クヒオ大佐』では、騙される女性が抱える孤独、不満、空虚な心も描かれています。彼女たちには、クヒオにすがるような気持ちがあり、一緒にいるときは幸福だったのです。またクヒオ自身も、自分を嘘で塗り固めないと生きていけない人間で、本当の自分に我慢ならなかったのかも……と、少し切ない気持ちになったりして。

でもいちばん好きなのは、詐欺の被害者であるヒロイン（松雪泰子）の弟（新井浩文）がクヒオの嘘に早々に気付いて突っ込みまくるくだり。このときの二人の会話、爆笑です。

監督： 吉田大八
出演： 堺雅人、松雪泰子、 満島ひかり、中村優子、新井浩文、児嶋一哉、安藤サクラ、 内野聖陽ほか

※詐欺師映画はほかにも『スティング』『グリフターズ』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』などもあり、これらの映画でも、いろいろな騙しのテクニックが楽しめます。詐欺師は一種のアンチヒーローですからね、そのあやしい毒が人を惹きつけて止まないのでしょう。