世界遺産/アメリカの世界遺産

チチェン・イッツァ/メキシコ(3ページ目)

1年に2度、羽を持つ蛇の神が舞い降りるピラミッドや、生きたまま生け贄の心臓を抜き出した神殿をはじめ、中米でもっとも有名なマヤ文明の世界遺産「チチェン・イッツァ」。今回はこの神秘の古代都市を紹介しよう。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

生きたまま心臓を取り出した戦士の神殿

戦士の神殿。ここで敵の捕虜の胸を裂き、心臓を太陽の神に捧げたといわれている ©牧哲雄

戦士の神殿。ここで敵の捕虜の胸を裂き、心臓を太陽の神に捧げたといわれている ©牧哲雄

千柱の間。もともとは木や葉の屋根がかけられていたようだ。角柱には細かいレリーフが刻まれている ©牧哲雄

千柱の間。もともとは木や葉の屋根がかけられていたようだ。角柱には細かいレリーフが刻まれている ©牧哲雄

エル・カスティーヨの東に戦士の神殿と千柱の間がある。アテネのパルテノン神殿、シリアのパルミラ、イランのペルセポリス、エジプトのカルナック神殿……柱が並ぶ空間はいつ見てもとても神秘的だ。

ジャングルのように林立する千柱の間にはたくさんのレリーフが彫られており、光が当たるとそんなレリーフに光が刻み込まれて絵がぽっこりと浮かび上がる。連なる柱と柱の影と、そこに浮かび上がるレリーフが、なんとも不思議な空気をかもし出す。

 

エル・カスティーヨ内部にあるチャック・モール像と、奥がジャガーの玉座。戦士の神殿にもチャック・モール像があり、像のお腹部分にある鉢に生け贄の心臓が奉げられた ©牧哲雄

エル・カスティーヨ内部にあるチャック・モール像と、奥がジャガーの玉座。戦士の神殿にもチャック・モール像があり、像のお腹部分にある鉢に生け贄の心臓が奉げられた ©牧哲雄

この戦士の神殿の入り口にあるのがククルカンの石柱と、神の使者チャック・モールの像だ。チャック・モールはお腹に鉢を持っているのだが、ここには生きたまま胸を裂かれた生け贄の心臓が、天体の運行に疲れた太陽に捧げられていたという。

この様子はジャガーの神殿のレリーフに刻まれている。生け贄の頭部は切断されて、エル・カスティーヨの北西にあるツォンパントリと呼ばれる頭蓋骨の基壇に串刺しにしてさらされたという。

ちなみに、この戦士の神殿とエル・カスティーヨ、鷲とジャガーの神殿、金星の台座の間の広場のある地点で手を叩くと音が反響してある特殊な音になる。お試しあれ。

 

命を懸けて戦った球戯場

球戯場。左右の壁の上部に小さい輪があるのが見えるだろうか。ここに手を使わずに、ゴム・ボールを入れると勝者となる ©牧哲雄

球戯場。左右の壁の上部に小さい輪があるのが見えるだろうか。手を使わずにここにゴム・ボールを入れると勝者となる ©牧哲雄

上部にあるのがその輪 ©牧哲雄

上部にあるのがその輪 ©牧哲雄

メソ・アメリカにはピラミッドの他に、数々の球戯場がある。チチェン・イッツァの球戯場はメソ・アメリカ随一といわれる規模と美しさを誇る。

球戯場で行われていたのはサッカーに似たスポーツで、手を使わずにゴム・ボールを壁の上部に取り付けられた輪に入れるというもの。豊作祈願の儀式といわれているが、スポーツと違う点は、勝者(敗者だったという説もある)のリーダーは首を切り落とされるところだ。

なぜ勝者が死ななくてはならないのだろう?

神への生け贄は名誉であり、天国への道が約束されるということで、当時生け贄志願者は数多く、競うほどのものだったといわれている。
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