フランス/フランスのグルメ・ワイン・レストラン

予約の取れないパリの3つ星フレンチ、アストランス

パリの3ツ星レストランで、今一番予約困難、話題性が高いのが「アストランス」。シェフはパスカル・バルボ氏、メートル・ドテルのクリストフ・ロア氏がオーナーです。東京3ツ星「カンテサンス 」岸田シェフ、フランスで日本人初の2ツ星を得た『パッサージュ53(Passage 53) 』の佐藤シェフ両名が経験を積まれたお店としても有名です。そんな同店の「シェフお任せ」メニューからスペシャリテを中心にご紹介します。

里井 真由美

執筆者:里井 真由美

グルメガイド

お料理の始まりからワクワクする!
まるでミルクレープのようなフォアグラの前菜~

ミルフィーユの様な前菜のフォアグラ。層になっているのは青リンゴ。間の空気感と一緒に頂き一層フレッシュな口当たり。

ミルクレープの様な前菜のフォアグラ。層になっているのは生のシャンピニオンと青リンゴ。間の空気感と一緒に頂き一層フレッシュな口当たり

「アストランス」のシェフ パスカル・バルボ氏のお料理は軽くエレガント、それでいて満腹感に到るボリュームもあります。上の画像はマリネしたフォアグラと生のシャンピニオン、青リンゴを重ねたまるでミルクレープのような美しさ。甘さ香り食感のバランスが豊かなスペシャリテの一つです。

シンプルでシックな印象のアストランス入口にて

シンプルでシックな印象のアストランス入口にて

パスカル バルボ氏は、元々パリ3ツ星『Arpage アルページュ』のアラン・パッサールの元でスー・シェフとして働いたのち、27歳の若さで独立されました。アルページュのサービスの責任者であるクリストフ・ロアと共に今のアストランスをオープン。開店直後から予約が殺到し、あっという間に「予約がとれない」状態に……。そんな人気のお料理と店内を引き続きご紹介いたします。

女性的でもあり男性的でもある。「中性的な魅力」を感じる店内とお料理

店内はシルバーとグレーを基調にシックな印象。ロフト的な2階席があり、今回はこちらで頂きました。

店内はシルバーとグレーを基調にシックな印象。ロフト的な2階席があり、今回はこちらで頂きました

アストランスの入口そして店内は、シルバーとグレーが貴重になりクール&シック。いわゆる豪華絢爛さとは一線を画したイメージです。ロフトのような2階席もありますが全体として小じんまりな印象を受けます。

生花とPOPカラーのウェルカムボードが華やかさをプラス。

生花とPOPカラーのウェルカムディッシュが華やかさをプラス

そこに華やかさが加わるのが明るいカラーの椅子とウェルカムディッシュ。テーブルに置かれたさり気ない生花も優しく女性的な印象です。女性的でもあり、男性的でもある「ちょっと中性的」~そんな店内の雰囲気は、実は後に続くお料理にも似たような印象を受けました。

 

「華やかな見た目、味は豊潤」
食材を主張させるバランス感覚も素晴らしい

アルファルファとハーブがふんわり。華やかな香りとソースの鮮やかさにハッと驚く前菜。

アルファルファとハーブがふんわり。華やかな香りとソースの鮮やかさにハッと驚く前菜。

下にはムール貝がビッシリ。軽快さと食べ応えの満足度、そのバランス感覚が素晴らしい一品。

下にはムール貝がビッシリ。軽快さと食べ応えの満足度、そのバランス感覚が素晴らしい一品。

お料理は華やかで目を惹くカラーリング、いわゆる女性的な印象です。サフランベースの黄色とエディブルフラワー、ハーブがふんわり乗っています。ところが、いざ頂こうとすると、下にはムール貝がビッシリ! 隙間無く敷き詰められた数々は、前菜というには本当に贅沢な量。女性的な見た目の軽さと相反するボリュームで満足感にも繋がります。驚きと楽しさを頂きつつ、食材の活かし方にも心動かされました。

 

素材とシェフが意思疎通しあったかのような~
おいしさの広がりを頂くメインディッシュ

お魚は鱈。香ばしく焼かれた皮目とやはり鮮やかなソースが印象的

お魚は鱈。香ばしく焼かれた皮目とやはり鮮やかなソースが印象的

メインのお魚は鱈(たら)。淡白な味を想像しがちですが持ち味が活かされ、味の幅がとても広い一品でした。まずそのままで頂くと、身の旨みと皮目が香ばしさがいい。木の実のトッピングが心地よい食感です。緑のハーブソースを添えると香りの演出でまた違った味わいが楽しめました。

お肉は鴨。目の前で赤ワインと少しだけベリーなど果実の香りがするソースをかけて頂く

お肉は鴨。目の前で赤ワインと少しだけベリーなど果実の香りがするソースをかけて頂く

お肉のメインは鴨。目の前で赤ワインの真っ赤なソースが注がれました。緻密な肉質からにじむ旨みは、見事な火入れの技術を感じます。数種の果物の香りが一層美味しさを広げていたようです。「素材の持ち味を引き出す」以上の「広がり」や「深み」の演出には、シェフ パスカル バルボ氏と素材との意思疎通の凄さを見たかのようでした。

 

「おいしかったね」と語らい合うラストシーン。華を添えるミニャルディーズ・小菓子の数々も重要

ミニャルディーズの数々。料理の素晴らしさを語らいながら楽しむのに欠かせない。最後まで感動が続きました

ミニャルディーズの数々。料理の素晴らしさを語らいながら楽しむのに欠かせない。最後まで感動が続きました

プレデザート、メインデザートと続き、 最後に頂くお楽しみのミニャルディーズ・小菓子。そこにもきめ細やかな心遣いがありました。どれにも「出来立て感」があるのです……。

泡でふんわり。小さいながらも濃厚さも楽しめたプリンです

泡でふんわり。小さいながらも濃厚さも楽しめたプリンです

マドレーヌやフィナンシェは小さいながらもふわっと温かく、季節の果物は水滴がにじみ、みずみずしさに富んでいる。プリンは泡のふわふわが消えない内にサーブされ、卵の殻に入った楽しい演出。それぞれの特徴が活かされています。料理を振り返り「おいしかったね」と語る楽しいシーンに重要な小菓子。そこにもシェフの想いが潜んでいました。

 

「楽しんで料理しなきゃね!」笑顔が素敵なパスカル バルボ氏

食事後にお写真をご一緒させて頂きました。左)右)パスカルバルボシェフ。

食事後にお写真をご一緒させて頂きました。左)メートル・ドテルのクリストフ・ロア氏、右)シェフのパスカル バルボ 氏

「おいしく楽しんで頂けましたか?」 と、シェフのパスカル バルボ氏。お話を伺うと「素材をどう料理しようか考えるのが楽しい」「お客様に喜んで頂ける事が嬉しい」と明るい言葉遣いと笑顔が素敵な方でした。


クールシックな店構えは、
シックなエントランス。だからこそ料理への情熱と色鮮やかさが印象に残るのかもしれません。

シックなエントランス。だからこそ料理への情熱と色鮮やかさが印象に残るのかもしれません。

より一層の料理の鮮やかさが活きる。だからこそ、のシックさなのかもしれません。そして「自分が楽しんで料理しなくちゃ!」と仰るシェフの笑顔が、よりくっきり鮮明に見映えする……。至る所に人気の理由が見え隠れしています。だからこそまた、伺いたくなるレストランです。


<DATA>
■Restaurant  L'Astrance (レストラン アストランス)
住所:4 Rue Beethoven, 75016 Paris, フランス
TEL:+33 1 40 50 84 40
定休日:土・日・月曜
営業時間:10:00~15:00、19:00~23:00
※料理はランチはアラカルト要相談あり、夜はお任せコースのみ
平均予算:ランチ100ユーロ~ ディナー150ユーロ~
(季節・内容によって価格は変動します)
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