介護・福祉業界で働く・転職する/介護・福祉業界で働く・転職する関連情報

未経験者が現場経験を経て施設長を目指す場合(2ページ目)

「介護業界への可能性を考えて転職、やるからには将来は施設長を目指したい」。最近このような相談を受けることがあります。異業種から心機一転、未経験者にチャンスはあるか? 現実的に可能かどうか? といった質問です。答えは「YES」です。ただし思っているだけでは実現しないので、現場経験が始まったその日から意識して行動すべきポイントをお伝えします。

井上 ルミ子

執筆者:井上 ルミ子

介護・福祉業界で働く・転職するガイド


人脈形成を意識する

人と人とのつながり

人を引き付ける力を身につけましょう

先に理想の同僚もしくは先輩や上司を見つけることをおすすめしました。理想とされる人の共通点の多くは、任せてもいいと思える安心感や信頼できる公平感を兼ね備えている人です。介護の仕事は24時間の連続性であり、責任をリレーすることで、個々異なる入居者の生活を成り立たせているのです。そのため、他者の協力なくして自分が理想とする介護は実現できません。施設長になれば現場を指揮する側になるので、人を引き付ける力こそ重要です。

上司との関係
半年もすると現場が何となく理解できるようになり心に余裕が出てきます。今まで理解できなかった申し送りの内容の意味がつかめるようになり、介護の現場もシフトを担う一員として数えられます。そして時とともに責任範囲が増えますが、上司がそう判断するバロメーターのひとつが任せられる安心感の有無です。1から10まで指示せずとも課題に対し予測しながら動く、まさに先に述べた根拠を理解する習慣を身につけた人がとれる行動です。そして適宜確認の意味を含めた報告、連絡、相談ができる人、これを上司とのコミュニケーションの一場面として活用することです。

職員同士の関係
一方職員同士は、公平で誠実な人柄に信頼を寄せるのです。一人の人間として自分を支持してくれる人をどれだけ作れるかが大切です。職員は役職ではなく人についていくのです。利害に左右されず、距離の近い仲間から信頼を集められる人柄は貴重です。信頼とは単なる仲間意識で築きあげられるものではなく、お互い切磋琢磨し成長するプロセスの中で構築されるものです。時に同僚へ注意する場面も出てきます。言い換えると人に注意するということは、自分自身が常に手本になる意識を持って行動、発言をしなければならないということです。例えば日常の意見交換から自分なりの考えが生まれます、それを会議やミーティングのオフィシャルの場で発言できるか、質疑に自分の意見が述べられるかということもそのひとつです。

自分を表現する
現場というスタートは同じでも、将来どのように成りたいかは人それぞれ違います。相談員、ケアマネジャーなどの職種経験を広げたい人もいれば、リーダーや施設長になって理想の職場づくりに貢献したいという人までさまざまです。大切なのは、その動機と目的を明確にし、自身の行動目標にかかげることです。そして面談時には上司に具体的に伝えるようにしましょう。意思を表明することで、上司もその視点で、努力すべき点など具体的にアドバイスや情報提供をしてくれるでしょう。さらには様子を見て可能だと判断したら、臨時の仕事を任せたり、見学などの外部対応を担当させたりとチャンスの広がりが出てきます。

また自らも施設のイベントなどを意欲的に企画、参加するなどを通してやる気を表現していきましょう。人の世話ができる、人が喜ぶことを率先して実施する、まさにリーダーシップが発揮できるかどうかです。

他職種にも興味を持ち連携を深め、利用者、家族、後見人などとの良好な関係を保つことが大切です。さらには地域社会の重要性を認識し、居宅介護支援事業所、病院、包括支援センター、デイサービスなどあらゆる事業所と臆することなくコンタクトがとれる人材は、施設長に就任した際、営業などの渉外活動ができることを意味します。

運営コストを意識する 

やりたいこととやれることの違い、その判断指標のひとつにコストが関係してきます。現場における身近なコストは時間です。1時間の仕事を1時間以上かけていなか、どうすれば理念を実現しつつ5分でも10分でも短くできるか、そして生み出された時間で何を充実させたいのか、まさに知恵と工夫の連続です。勤務時間が有料である感覚を持って、いかに効果的に入居者や組織に還元していけるかが問われます。

現場職員であっても施設長がコントロールすべき売上意識を身につけておきましょう。予算を意識したイベントを企画したり、介護保険、介護保険以外の売上と大枠の人件費とのバランス、水道光熱費など経費削減できる部分への意識など計数感覚を身につけておくことが大切です。

成りたい自分、実現したい事柄を目標に、何をどう計画的に努力するのかが大切です。思っているだけで実現することはなく、現場経験の期間を準備期間として有効的に活用しましょう。
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