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ダンサーズ・ヒストリー 新国立劇場バレエ団 米沢唯(3ページ目)

今月上演を控えた新国立劇場バレエ団公演『ドン・キホーテ』で、初日に主演のキトリを踊る米沢唯さん。キトリにかける想いは、前回お伝えした通り。ここでは改めて彼女のバレエ人生を振り返り、その情熱の源を探ります。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド

日本で再出発!
新国立劇場バレエ団へ

今後のバレエ人生を託して挑んだ、新国立劇場バレエ団のオーディショ
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入団直後の米沢さん。まだどこか初々しい

ン。結果は、見事合格。しかも、いきなりソリストでの契約である。
「本当にうれしかったですね。“あぁ、バレエをやっていていいんだ”と思って……。ならば、精いっぱい頑張りたい。自分なりに、全力でやろうと決めました」

だが、ソリストというポジションでの入団だけに、それなりの力量を求められるはず。周囲の視線は気にならなかったのだろうか?
「必死すぎて周りのことが見えてなかったので、あまり気にならなかったです(笑)。それに日本のダンサーの方がバレエに対して熱心というか、みんながバレエに一直線に向かって頑張ってる。バレエが好きっていう気持ちが伝わって来るし、それは私も同じ想いなので、居心地はすごくいいです」

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『シンフォニー・イン・C』 撮影:鹿摩隆司

新国立劇場バレエ団での初舞台は、2010年秋の『シンフォニー・イン・C』。
「すっごく緊張しました! もう、心臓が口から出るんじゃないかっていうくらい(笑)。乗り切ったときは嬉しかったですね」
初舞台を無事務め上げ、ホッとしたのも束の間。次シーズンの新作バレエ『パゴダの王子』の主役・さくら姫役に抜擢される。
「“何かの間違いじゃない!?”“ビントレーさんは何を考えているんだろう?”って思いました(笑)」

『パゴダの王子』とは、芸術監督デヴィッド・ビントレー振付演出による新制作の全幕バレエ。新国立劇場での上演を皮切りに、2014年にはイギリス・バーミンガムでも上演が予定されている。新制作ということは世界初演となり、オリジナルキャストとして名を残すことになる。
「それまで主役といえば『くるみ割り人形』くらいしか踊ったことがなくて。逆に言えば、新作だからどうとか、どれくらいスゴイことなのかもわかってなかったです。とにかく、みんなについて行く感じでした。今振り返ると、貴重な経験をさせていただいたなって思います」

振付が完成したのは本番の二週間前。リハーサル期間はわずか二週間しかない。
「でもビントレーさんはすごく穏やかな人で、静かに淡々と進めていく。私もビントレーさんの静けさの中に入っていくと、自然と作品について色々考えられて……」

初の大舞台を見事踊りきり、バレエ・ファンの間にその名を知らしめた米
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『パゴダの王子』 撮影:瀬戸秀美

沢さん。
またこの舞台を経て、彼女の中でも大きな変化があったという。
「終わった後、ちょっと呆然としました。舞台に生かされたというか、舞 台の上でリアルに気持ちが動いていく、さくら姫としてその場にいる感じがした。初めて全幕を踊って、“舞台の上で生きる”というのが何となくわかったような気がしました。舞台ってスゴイんだなって改めて感じましたね」

ビントレー監督も、彼女の踊りに大いに満足したようだ。終演直後、“君 はグッド・ストーリー・テラーだ!”と声をかけている。
「うれしかったです。この言葉は、大切に持っておこうと思っています」

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