ダイエットのために冷やごはん?
レジスタントスターチが取りあげられるようになり、ダイエット法として、わざわざ冷やごはんにして食べてやせよう!と、ネット上でもクローズアップされた時期がありました。特に昨年のような節電が求められる際には、省エネと食べやすさで冷や茶漬けのようなメニューは、おいしいと思いますし、時にはおむすびを食べるのもよいでしょう。けれども「やせる」ために、寒い季節に主食のごはんをわざわざ冷やして食べ続けるような方法は疑問です。
レジスタントスターチを含んでいるからといって、冷やごはんでやせるというようなキャッチコピーをよく見かけましたが、脂質代謝の改善に関わる成分であり、冷やごはんを食べること=やせるわけではありません。食べる量や食べ方、その他の生活習慣も関わるのですから、安易な受け止め方はしないようにしましょう。
国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性」では、
と示しています。俗に「便秘によい」「ダイエットによい」「肌荒れによい」などといわれている。ヒトでの安全性・有効性については難消化性でんぷんとしてはデータが十分ではない。特定保健用食品では個別に製品毎の安全性・有効性が評価されており、難消化性でんぷんを関与成分とし「おなかの調子を整える」との表示が許可された食品がある。
豆類やいも類にも含まれるレジスタントスターチ
でんぷんの多いいんげん豆は、加熱することでレジスタントスターチが増えます。
特にデンプンの多い豆類は、 もともとレジスタントスターチを含んでいますが、煮豆にする課程で加熱・冷却することでさらにレジスタントスターチが増えると考えられています。 温かいごはんを食べても、他に豆や芋類などで補えばすむのではないでしょうか。また白米を玄米にする、あるいはブレンドするのもよいでしょう。
期待が広がるレジスタントスターチの用途
レジスタントスターチは、天然の食材のデンプンでは含有量が少ないため、アミロースの比率を高めるなどして難消化性を高め、加熱調理にも安定した製品が開発され、その機能性やまた風味をよくするために、パンやパスタ、菓子類などに利用されています。例えば、株式会社J-オイルミルズは、コーンスターチの一種であるハイアミロースコーンスターチを独自技術でレジスタントスターチの含量が約70%まで高めた商品を開発し、その栄養機能についてラットを用いた動物試験で、「腸内環境を改善」する効果を確認し、2012年5月19日第66回日本栄養・食糧学会大会で発表されるなど、生理作用の研究が進んでいます。
近年は、低炭水化物、糖質オフというキーワードもよく取りあげられます。もちろん食べ過ぎることはいけませんが、個人に適切な量を他の栄養成分とバランスよく食べることが基本です。でんぷんや糖質を含む食べ物が悪いと安易に受け止めず、それぞれに働きがあることを知っておきましょう。
参考/
- ルミコナイドとしてのレジスタントスターチの役割(FFI JOURNAL,Vol.217,No.3.2012)
- 難消化性でんぷん、レジスタントスターチ(健康食品の安全性・有効性)
- 難消化性でんぷん、レジスタントスターチ、結晶性アミロース(健康食品素材の化学的実証データベース)
- 化学と生物 Vol. 42, No. 6, 2004
- 総説 炭水化物の消化・吸収・発酵とその利用(栄養学雑誌Vol.59 No.4 169~176 <2001>)
- ジネンジョ機能性成分がラットの脂質代謝に及ぼす効果(名古屋女子大学)
- 食物繊維の生理作用(一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会はっこう乳乳酸菌公正取引協議会)
- 「豆」元気・きれい(財団法人 日本豆類基金協会)
- でん粉の基礎知識(農畜産業振興機構)