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マンション管理組合が地震保険に入っていないと……(2ページ目)

価値観も経済状況も異なる住民が、ともに1つの資産を維持する分譲マンションは、種々の難しい問題も抱えています。もし、震災であなたが住んでいるマンションが被害に遭ったら、どうしますか?イザというときのトラブルをできるだけ抑えるために、今こそ優先しておきたいこととはどんなことでしょうか。以下解説します。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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マンション修繕で住民負担を増やさないために

住宅ローン返済と建物の修繕の追加負担が重複したら・・

住宅ローン返済と建物の修繕の追加負担が重複したら……

ローンによりマンション購入後、地震被害でそこに住めなくなる最悪の事態となっても、残ったローンはなくなりません。さらに建物の躯体部分に深刻な損害が生じれば、建て替えや大規模修繕が必要になりますが、修繕積立金に不足が生じれば、個々の住民には追加負担も必要になるでしょう。

住宅ローン返済と建物修繕のための追加負担が重なったら、住民の家計は深刻な事態に陥ってしまいます。ローンがなくても、終の棲家としてマンションを即金で購入した高齢者の方もいるでしょう。暮らしや価値観、経済状況の異なる住民が合意に至ることは、なかなか難しいのが現実です。

こうしたときに住民の合意形成を可能な限りスムーズに進め、追加負担をできる限り抑え修繕や再建に至るために有効な資金準備手段といえば、現実には地震保険くらいしかありません。より深刻な事態における資金確保を図ることは、分譲マンションだからこそ重要だと思います。

意外と安い?! 専有部分の一戸当たり地震保険料

肝心の地震保険料は、前述の専有部分500万円の地震保険料は、保険料が最も高い東京都のマンションでも年間7600円程度。一方の共用部分は、たとえば500世帯弱が入居、建物全体の評価額が100億円程度の分譲マンションで、共用部分の評価額が約60億円なら地震保険金額は最大で30億円となります。

このマンションが全損認定された場合、管理組合は30億円の地震保険金を受け取ることになりますが、管理組合が負担する地震保険料を一戸当たり保険料に換算すると、年間9000円程度。負担増には住民の合意が取り付けにくいとはいえ、最悪の場合30億円を確保できる点には検討の価値があるのではないでしょうか(保険料は2014年6月現在。建築年割引適用。)

地震保険の補償範囲は必ずチェック

契約にあたって気を付けておきたいのは、どのような地震被害であっても、地震保険に入ってさえいれば何でも補償されるわけではないという点です。地震保険金が支払われるのは、マンションの主要構造部に一定の損害が生じたときであり、受水槽やエレベータのみの損害は対象となっていません。このように地震保険が、他の保険と異なる特徴を持っていることは、契約前にしっかりと押さえておきたいところです。

いつ・どこで・どの規模で発生するかがわかっていない地震災害は、そもそも保険として仕組むことができない災害であり、そのため法律に基づき国が関与し支えている制度です。それでも、保険金をあまねく世帯に確実に支払うためには、補償内容を限定せざるを得ないのが他の保険とは異なる地震保険制度の限界でもあります。

だからと言って、地震保険には意味がないということではありません。他の備えの手段がない中、地震に対してベストの備えが存在しないのが現実であり、抑えられない巨大災害を前に、まずは私たちにとってのベターを目指すことが大切なのです。
(2014年6月現在)

【関連リンク】
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