土地活用のノウハウ/空室対策・賃貸管理・老朽化

老朽化物件の出口戦略(3) 賃貸経営からの撤退(売却)(2ページ目)

賃貸物件が老朽化して寿命を迎えた場合、建て替え・買い換え・リノベーション等により、賃貸経営を継続することができます。しかし、賃貸経営は長きにわたる為、経営の継続には次世代の方の状況も考慮しなければなりません。もし、次世代の方が賃貸経営を継続できない場合などには、物件を売却して「賃貸経営から撤退する」というのも選択肢の一つです。実際に物件を売却して金融資産に換えたオーナー様の事例をご紹介します。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

次の世代としっかり話し合って決める

お子さんにも当事者意識をもってもらう

次の世代との話し合いが大切

建物の寿命を迎えてどのような選択肢を選ぶかは、ご本人だけでなく次世代の方の状況によっても変わってきます。特に、建て替えでは次の世代が賃貸経営を継承することが前提となります。あらかじめお子さんの意思を確かめておきましょう。

オーナーさんが賃貸経営を次の世代に引き継ごうと考え始めるのは、体力や気力に衰えを感じてくる70~80歳代が中心です。そのときお子さんの多くは40~50歳代です。

仕事ができてしっかりしたキャリアを持っている人の場合、そのくらいの年齢はいちばん充実していて忙しいものです。賃貸経営がお荷物となってしまう場合もあるのです。お子さんに、もし賃貸経営を引き継ぐ意思がないということなら、オーナーさんご自身がまだしっかりしているうちに、物件を生かしてくれる人に譲渡することを検討すべきでしょう。

賃貸物件の管理は手間と時間と精神的なコストがかかりますが、売却して金融資産に換えてしまえば、ずっと楽になります。相続を考えても、節税を目的に賃貸物件とするより、処分の楽な資産の形でお子さんに残してあげるほうが、より感謝されるかもしれないのです。

子供に引き継いでもらいたいなら

もしもオーナーさんがお子さんに賃貸経営を引き継いでもらいたいと考えているならば、早いうちから当事者意識を持ってもらうことが大切です。そのためには、掃除でも確定申告でもいいですから、賃貸経営に関わる仕事を手伝ってもらい、興味を持ってもらいましょう。

とはいえ、誰にでも向き不向きはあります。お子さんが性格的に賃貸経営に向いていなければ、引き継いだとしても最終的に経営に失敗してしまい、かえって苦しむことになってしまうかもしれません。お子さんの適性についてはオーナーさんご自身が判断しなくてはなりません。1つポイントを挙げるとしたら、「人づきあいができるかどうか」でしょう。というのも賃貸経営では、不動産会社、リフォーム業者、修繕業者など意外につきあう相手が多く、ある程度の社交性が必要だからです。また「うまく人を使う」ことも必要で、それができるかどうかもポイントになります。

いずれにしても「私ももう歳だから、そろそろ賃貸経営を引き継いでくれないか」と頼む以前に、お子さんと話し合い、お子さんの人生設計の中に賃貸経営というビジョンがあるかどうかを確認しておかなくてはなりません。現在の経営がうまくいっていて、お子さんにも引き継ぎたいという意思があるならば、「建物の老朽化が賃貸経営のやめどき」とはいえません。
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