派遣法改正が決まるまで数年かかった。
法律が変わるかもしれないと言われ続けて数年。2012年3月、ようやく派遣法が改正されることになりました。ここにいたるまでに改正範囲の議論が二転三転したので、何が変わり、何が変わらないのかまとめておきましょう。
ポイント1 派遣法改正で何が変わるの?
一時期、製造業務派遣や登録型派遣が禁止になるかもしれないという話がありましたが、最終的にはそのようなことはなくなりました。法改正によって変更される主な項目は下記です。日雇い派遣の一部禁止
日雇い派遣(雇用契約が30日以内の派遣)の一部が禁止されます。すべて禁止されるわけではなく、業務内容などによっては引き続き日雇い派遣が認められますが、詳細はまだ決まっていません。
グループ企業内派遣は8割までに規制
派遣会社と同じグループ企業への派遣は、派遣会社の全派遣スタッフの総労働時間の8割までしか認められなくなります。
1年以内に辞めた人を派遣で受入れることの禁止
会社を辞めてから1年経過していない人を、派遣スタッフとして受け入れることが禁止されます。例外を認めるかはこれから審議されます。
派遣スタッフの均衡処遇の確保
派遣スタッフと同一の職務に携わる派遣先の社員との間に、不合理な差別がないよう努力義務が課せられます。
マージン率の公開と派遣料金の明示
派遣会社は、派遣料金から派遣スタッフの賃金を除いた金額の割合(マージン率)を公開しなければならなくなります。また、派遣スタッフに派遣料金を明示することも必要です。具体的な方法はこれから検討されます。
「直接雇用みなし規定」の創設
偽装請負や自由化業務で受入れ期限の上限(1年や3年など)を越えて派遣スタッフの活用を続けていた場合、派遣先企業と派遣スタッフの間に雇用契約が成立するというものです。この規定については、改正派遣法の施行日の3年後から適用されます。
ポイント2 派遣法はいつ変わるの?
上記の変更がいつから実際に働く現場に適用されるかはまだ確定しておらず、これから決まります(2012年4月10日時点)。例えば2012年10月1日に改正派遣法が施行されることになった場合、ほとんどの項目はそのタイミングから新たな規制が適用されますが、「直接雇用みなし規定」だけは、その3年後から適用されるので、時期がずれることに注意が必要です。
ポイント3 派遣スタッフが注意するべきことは?
日雇い派遣の一部禁止や1年以内に辞めた人の派遣受入れ禁止、マージン率の明示法など、詳細はこれから決まる項目も少なくありません。引き続きニュース等で動向を注視していきましょう。また、現在、日雇い派遣やグループ企業内派遣で働いている方は、改正法の施行後も同じ働き方ができるか、派遣会社に確認しましょう。影響を受ける場合は、他の仕事を探すことも含めて対策が必要です。
※本記事は2012年4月10日時点の情報をもとに執筆しています。