100年店ランチ/東京の100年店ランチ

嶋村(割烹/八重洲/創業1850年)

日替わりは900円、名物も1000円ちょっと。江戸・明治の時代から著名人に愛されてきた一店。今回は東京駅から徒歩圏内、八重洲エリアの割烹「嶋村」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

東京駅八重洲口からほど近い割烹「嶋村」

同店店頭

同店店頭

東京駅八重洲口、目の前を走る外堀通りを渡り、八重洲通りよりも2本北側(日本橋寄り)の路地に割烹「嶋村」が存在します。地上からでも八重洲の地下街を通ってきても2分程度の同店。新幹線に乗る前、降りた後にふらっと立ち寄れる立地です。日本橋の丸善や高島屋サイドから来店する人たちもいますね。

一見小さな店構え。間口も狭そうですが、入口は右奥にもあります。老舗感はありますが、ふんだんに誇示するような外観ではないですね。店頭には常に季節を感じられる植物が置かれています。“緑”を大切にする、このあたりは他の100年店によく見られる傾向です。


創業は1850年(嘉永3年)

嶋村は1850年(嘉永3年)、仕出し店として日本橋で創業します。その後「上がりの八百善、仕出しの嶋村」と呼ばれる人気店となり、江戸城西ノ丸の御用仕出しを務めることに。ちなみに“上がり”とは、客を店に上げる料亭のこと。嶋村は明治維新後に仕出しから“上がり”の店へと変化して、今に至っています。

同店伝来の家訓は「一升枡には一升しか入らない。その分手を尽くしてよい料理を作れ」

同店伝来の家訓は「一升枡には一升しか入らない。その分手を尽くしてよい料理を作れ」

さてその創業の1850年とは、どんな年だったのでしょうか……。年号「嘉永」の大きな出来事は、何といっても嘉永6年の黒船来襲。嶋村の創業はその3年前のことになります。時の将軍は、第12代徳川家慶(いえよし)です。古い……。

幕府への批判につながる開国を説いていた医師で蘭学者の高野長英が没し、その後の日本の英語教育や、日本文化の紹介者として活躍する小泉八雲が生まれたのがこの年。お隣、中国(清朝)では大きな内乱、「太平天国の乱」が起こっています。

勝海舟27歳、吉田松陰20歳、沖田総司6歳……そんな年に嶋村がスタートしています。

では、江戸城御用仕出しの歴史を持つ店へと参りましょう。

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