運動と健康/スポーツ栄養・アスリートの食事

スポーツ栄養の4つの基本

スポーツ栄養は通常の栄養管理がしっかりしていることが大前提。基礎の栄養管理をせずに激しいスポーツをすると自分の体をすり減らしてしまうことに。パフォーマンスをアップさせる4つの基本を紹介します。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

今回はスポーツ栄養についてお話します。スポーツをする上での栄養管理はとても大切で、カロリーやその他の栄養素摂取が不足すると、筋肉が落ちたり、月経が止まったり、骨密度が落ちたり、怪我をしやすくなったり、怪我をした後の回復に時間がかかってしまったりします。最近は大人のランニングや登山も人気があるようですね。ガイドもぼちぼち走っています。以前フルマラソンをしたり富士山級の山に登ったりしましたが、コンディションを整える栄養管理は大切だなーと痛感しています。

1. 毎日バランスのとれた食事をする

毎日きちんと食事をすることは基本中の基本。毎回の食事にきちんと三大栄養である炭水化物、たんぱく質、脂質がバランスよく摂れているか確認しましょう。炭水化物は体のガソリンであり血中グルコースを安定させパフォーマンスをアップさせます。たんぱく質は体を作る栄養素で運動する人は一般の人より1.5倍程度の摂取が勧められています(1キロ当たり1.2~1.7g)。脂質もまた大切な栄養源です。効率のよいカロリー源で、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の大切な供給源です。

スポーツ栄養

スポーツ栄養の土台は毎日の栄養管理!

きちんと注意をして食事をしないと三大栄養素はすぐに偏ってしまいます。活動のエネルギーになるごはん、パン、パスタなどの炭水化物、体を作る肉、魚、乳製品、卵などのたんぱく質、ビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物もしっかり食べて体のコンディショニングをしましょう。

2. 運動前の水分・栄養補給

激しい運動をする場合、1~4時間前に水分・栄養補給をしましょう。1時間未満くらいの軽めの運動をする場合は特別な栄養補給は必要なく、バランスがとれた食事を1日3回摂る事に集中すればOK。栄養補給をする場合、お腹一杯のまま激しい運動をするのは好ましくありませんので、飲み物による栄養補給は1時間くらい前、食事による栄養補給は3~4時間前を目安に済ませましょう。食事をするタイミングにもよりますが、激しい運動をする時間が迫っているときには、低脂肪、低脂質、高炭水化物で消化の早い食べ物を選びましょう。油の多い揚げ物や食物繊維の多い豆や根菜類などは消化に時間が掛かるので不向きです。消化できないまま運動すると、胃がもたれたり、吐き気をおこす可能性もあります。

便利

パン、おにぎり、フルーツ・野菜ジュースは便利な栄養源

体格や運動量によりますが、炭水化物の摂取量目安は200~300gぐらいです。これはうどん1杯、おにぎり2個分、おにぎり1~2個+ジュース1本(200ml)、あんぱんやベーグル+牛乳1杯くらいに値します。1時間くらい前までには水分を200~400mlとっておきましょう。

3. 運動中の水分・栄養補給

90分以上の長時間に及ぶ運動をする場合は、運動中には炭水化物を摂取すると血中グルコースが安定しパフォーマンスも改善されます。目安としては1時間ごとに体重1キロあたり0.7gの炭水化物を補給します。50キロだと35g、80キロだと56gという計算になります。15~30分ごとにスポーツ飲料を250ml程度摂取したり、グルコースゼリーなどを摂取すると自然に十分な炭水化物が摂取できるでしょう。1時間未満の軽めの運動するときにはスポーツ飲料ではなく水で十分なケースも多いはずです。発汗量などにあわせて調整して下さい。脱水はパフォーマンスを低下させますので運動前、運動中のこまめな補給が大切です。

4. 運動後の水分・栄養補給

汗で失われた水分量をしっかり補います。目安としては運動後の発汗による体重減少1キロに対して1リットル、要は減った分を取り戻します。激しい運動の後はグリコーゲンが枯渇しますが、回復には十分な栄養補給が大切です。30分以内に炭水化物を体重1キロあたり1~1.5g摂取します。また2時間後くらいにも同量の炭水化物を摂取します。例えば、おにぎり、パン、クラッカー、果物などを食べ、発汗によって失われた水分をスポーツ飲料やフルーツジュースで補給すればカバーできるでしょう。

グリコーゲンの復活自体は炭水化物だけを食べても、またはたんぱく質や脂質をとっても同程度の回復率ですが、たんぱく質を摂取すると筋肉の修正にも役立ちます。よって、たんぱく質と炭水化物が一緒に摂取できる、プロテイン入りドリンクややヨーグルトなどの乳製品、しっかり具の入ったサンドイッチもお勧めです。運動後の水分・栄養補給は素早く行うことがキーです。

強い体を作って元気に運動を楽しみましょう!

*上記の情報の一部は米国栄養士会の文献を参考に作成しました。
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