食と健康/食と健康の基礎知識

食の裏側を知る! フードマイレージゲーム(3ページ目)

現代の日本は、食料の多くを輸入に頼り、旬は失われ、環境に負荷をかけているのが現実です。日常の暮らしでは見えにくい、食料の裏側を知るゲームを通じて、私たちに何ができるかをご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

買物ゲームのプログラム

  • 1970年チームと現代チームに分かれ、 カードで買物に行くお店と、交通手段を選びます。
  • 予算内(4人家族:1970年/550円、現代/1400円)で、食材カードを選び夕食の買物をします。
  • 夕食の絵を描き、食べたつもりで、夕食のメニューを発表します。
  • 食材カード裏の食材シールを産地別に地図にはります。
  • 食材カード裏の封筒のカード(★印=CO2:20g)で、フードマイレージに応じたCO2の量と、交通手段ごとのCO2の量を計算します。
  • 食材カードの裏のシールを地図にはりフードマイレージを計算します。
  • 1970年のチームと、現代チームのフードマイレージを発表し、比較をします
  • 日常生活でなにができるかを考えます

70年代と現在のライフスタイルの変化から学ぶ

 拝見して、とても完成度の高いゲームだと感心しました。さすがに多くの方が参加されて、試行錯誤を繰り返されただけのことがあるゲームだと思います。

林 ありがとうございます。特に教育現場では、総合学習というカリキュラムが導入されましたし、家庭科や社会、地理など、様々な分野で使いやすいようです。

南 1970年代と比較することがポイントで、フードマイレージだけでなく、旬がなくなっていることや、農業、交通の問題等、多くの学びがありますね。

道路地図
1970年と2005年の高速道路地図

 1970年と現在との物価の違いや、1970年には季節によって手に入らない食材があったこと、個人商店から大型総合店舗など買物先や交通手段にも変化があるということに気づくことができます。

また「食材カード」の裏の「食材シール」を「白地図」に貼ることで、現在の生産地が全国どころか海外にもひろがっているという変化に気づくことができます。特に高速道路の比較は、インパクトがあるようです。1970年当時には、東京と大阪を結ぶ高速道路が1本あるだけですが、2005年には、人間の体の血管のように、高速道路が張り巡らされています。

これによリトラック輸送が進み、排気ガスやCO2の排出量が増加し、環境に負荷を与えていることが理解できます。海外のものでも船で輸送したものなら、北海道から飛行機で輸送されたものより、CO2は低いものもあるんですよ。

私たちの買物でフードマイレージを減らせる?

 私は、2003年にフードマイレージという概念を知り、健康を支える食の背景として、フードマイレージのお話をよくするのですが、なかなか具体的に何をすればよいのか伝わりにくいのが現状だったと思います。

理屈ではわかっていてもなかなか実践につながりにくいものですが、ゲームを通じて腑に落ちやすいというか、例えば輸入食品よりも、できるだけ近場の食材を選択することが環境負荷を低減することを、子どもでも理解することができますね。

 今の時代は、人間関係もそうですが、すべてにおいてつながりが見えにくい時代になっています。食と交通と環境は、日々の買物でつながっています。ということは、日々の買物を通じて、フードマイレージを減らすことができるのです。まずは、普段の生活で、どれぐらい環境への負担をかけているかを知ることが第一歩。それを学ぶための学習プログラムの一つがフードマイレージ買物ゲームなんですね。

食のことや、その裏側にある問題について、チームごとに話し合うというのも、気づきを導きやすいのだと思います。

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