癌(がん)/がん治療の病院・名医の探し方

国立がんセンターの手術数が20%減?!(2ページ目)

国立がんセンターで麻酔科医の半数が相次いで退職し手術症例数20%制限されると報道されました。その他にも医師不足で診療制限を迫られている病院は増えています。医療崩壊が現実になってきたのでしょうか?

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド


年収数千万円で医師を募集する病院も……

年収数千万円で医師募集
医療現場での医師不足は深刻得、年収数千万円で募集するケースも出てきています。
数年前から、市民病院で内科の外来を縮小しなくてはならないとか、救急外来を取りやめないとやっていけない、というニュースも増えてきたように思います。その中で、公立病院で従来よりも高い給与で医師を募集したという報道も目にする世になりました。

産婦人科医や麻酔科医などは、とくに確保が難しいようで、場合によっては、数千万円を提示しているケースもあるようです。

一般論として、給与が高くなるのは需要に対して供給が追いつかないということが理由として考えられます。広くは医師不足ということになるのでしょうが、医師の総数が足りないのか、医師の総数は足りているけれども、医師の偏在によって、現場では足りなくなっているのかということについては、色々と議論があり、まだ、確定した見解はないようです。

ただ、私自身が実感として感じるのは、若手の医師が、いわゆる外科系の科を選ばなくなっているということです。

医療は「社会の共通資本」である

医療は「社会の共通資本」である
厳しい職務内容のみならず、訴訟のリスクなどの観点から外科系の診療科を敬遠する若手医師が多くなっているようですが、これは、社会全体から考えると大きな問題です。
若手医師を外科系の科から遠ざけている理由の一つは、増大する訴訟リスクではないかという意見もあります。また、モンスターペイシェントという言葉も出てくるように、診療現場で理不尽な言動を繰り返す患者さんも、残念ながら、少しずつ増えているようです。

経済学者の宇沢弘文さんは、医療は「社会の共通資本」であり、医療を受ける側も提供する側も一体となってメインテナンスすることが、その価値を維持し、高めていくためには重要だと言われています。

今回のがんセンターでのニュースは、医療崩壊という言葉が、少しずつ現実味を帯び始めていることを示しているのではないかと思います。10年後、20年後の日本の医療のあり方をよりよいものにするために、何をすべきか、医師と患者さんが一緒なって考えていく時期が来ていると思います。

【関連リンク】
病院選びには、がん治療の成績を参考にする時代が到来しています⇒がん治療の成績で病院を選ぶ時代!?(All About がん・がん予防)

手術はがんに対する有効な治療法ですが、場合によっては手術ができない症例もあります⇒がんで手術ができないって、どういう状態?(All About がん・がん予防)

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